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ネタ帳(旧:没ネタ集)
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 私が生まれて間もなく、父がいなくなった。

 私には赤ん坊のころからの記憶がしっかりと残っている。 普段は物心がついたころからの記憶がおぼろげにあるだけだと思うのだが、なぜかしっかりと記憶のある私は、たった数日しか記憶のない父を思い出す。

 思い出せる父の顔は精悍で、イケメンと呼ぶにふさわしかった。 そして、超がつくほどのナルシストで超極がつく親バカであった。

 生まれたばかりの私を腕に抱き、顔をほころばせ、ことあるごとに写真を撮りまくっていた。 めちゃくちゃかっこつけたポーズで撮影していたので、私を取りたかったのと合わせて自分も取りたかったのだろう。
 そして、仕事? から帰ってくるたびに私にお土産を買ってくるのである。 数日の記憶しかないが、その数日で私のベビーベッドの周りはお土産だらけになったほどである。
 そんな父の口癖は「この子は将来とんでもない美人になるぞ!! なんたって俺の娘だからな!!」と「俺の娘だからとんでもない魔法使いになるだろうサ!!」だった。 無駄に白い歯がキラリと光るのはなんなんだろう? イケメンだから許される所業である。

 そんな父との最後の記憶は、玄関先での一コマ。

 私を抱きかかえる母に対して、

「今日で最後にしようと思う。 今日の仕事が終わったら俺、娘といっぱい遊んであげるいい父親になるんDA☆」

 と、日本の漫画でいう死亡フラグとやらをぶったてて出て行ったのである。

 で、いなくなったというわけ。 日本の漫画で死亡フラグというのを見た時に思わず、「お父様はフラグを立てたからいなくなったんだわ!!」と叫んでしまったほどである。



 あぁ、私の家は魔法使いの一家である。

 父はそれなりに有名な魔法使いだったようで、父がいなくなったと聞き半狂乱になった母の代わりに様々な家から支援のお話があった。

 支援を申し出てくれた様々な家を少しづつ転々としながら生活していた私だったが、半狂乱になった母が正気を取り戻し、「あの人と私の子供です!! 私が育てます!!」と、私を引き取りに来たのが5歳のころ。 あの当時は私と同い年の男の子がいる家に住んでいた。 あの子は元気にしているだろうか?

 それから世界各国を回りながら母と二人で生活を送っていた。 各家々を回りながら魔法に関する様々な知識、礼儀作法などを教えられていたので、教える事がないじゃないと半泣きになる母。 その後すぐに、「でも5歳でこの魔法知識はすごいわ!! さすがあの人と私の娘!!!」とめちゃくちゃいい笑顔で喜んでくれる母が私は好きだった。




 そんな私たち一家に転機が訪れたのが9歳の頃。

 久しぶりに故郷に帰ってきた私たち母娘。 父と最後の記憶があった家はきれいに掃除された状態で
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