第四十五話 二度目の激突その八
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他ならぬ上城がその樹里に顔を向けてこう言った。それも彼にしては荒く大きくなっている声で。
「いいよ」
「いいって」
その声の調子もあり樹里は立ち止まった。
「怪我してる、わよね」
「怪我はしてないよ」
上城は樹里から加藤に顔を戻して述べた。
「多分ね」
「多分なの」
「うん、ただ」
それでもだというのだ。
「結構ダメージは受けたよ」
「そうなの」
「相手の力を受けたからね」
加藤のその魔の力をだというのだ。
「それでね」
「そうなの」
「結構、いや結構以上にね」
上城は言いながら己の言葉を訂正した。
「衝撃を受けたから」
「確かにな。それはだ」
加藤は立っていた。上城を見据えている。
姿勢は毅然としている。しかしこう言うのだった。
言った瞬間に口から一条の血を出した。それをそのままにしての言葉だった。
「俺もまた然りだ」
「僕の力を受けて」
「俺の方が力は強かった」
それはその通りだというのだ。
「だが。君は力の使い方を考えてきたな」
「それを、ですか」
「一点に集中させたな」
最初の流星の攻撃と同じくだ。上城は今回も力を集中させてそのうえで加藤に対してぶつけたのである。
それに対して加藤はどうだったか。彼は己の力についてこう話した。
「俺の魔の力の強さは俺の倍以上はある」
「ですね、おそらくは」
「水でも魔でも他の力でも質としての強さは同じだ」
それは変わらないというのだ。
「相性はあってもな」
「火と水の関係はあってもですね」
上城は言いながら中田のことも思い出した。
「それでもですね」
「そうだ。光と闇もあるがだ」
「それぞれの力の相性はありますね」
「しかしその質の強さは変わらない」
火でも水でもだというのだ。
では剣士の力の強さの強弱は何によって成り立つのか。それはというと。
「それは量だ」
「力の量ですね」
「同じ質でも量が違えば強さは異なる」
「そうですね。力の量が多ければ多いだけ」
「俺の力はそれだけ多い」
即ち強いというのだ。
「君の倍以上のものはある」
「しかしですか」
「君はその俺の半分以下の力を集中させた」
分散ではなくそうさせたというのだ。
「それで今の俺の攻撃に対した」
「剣道の突きの要領で」
「突きか」
「突きは一点に集中させます」
そして前に出て攻撃を決める。一見して簡単だがそうではない。ぶれなければそれは入らない、存外難しい技だ。
その技を応用した、上城はこう言うのだ。
「それでしました」
「斬ったがな」
「その斬るのにです」
斬ることと突くことは違う、だがそれでもだというのだ。
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