第三十話 江田島その六
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「しかしです」
「それでもですか」
「私達は守ってくれるんですね」
「必ず」
例え何があってもだというのだ、ここでもこのことは言うのだった。
「そのことはご安心下さい」
「ううん、じゃあウルトラマンが来るまでですね」
「ちゃんと守ってくれるんですね」
「そうさせて頂きます」
彼等の全滅も念頭に置いての言葉だった、自衛官は災害だろうが怪獣だろうが向かわなくてはならないのだ。
そうした話をしてそしてだった。
その博物館に入る、そこには様々なものがあった。
森鴎外の書も確かにあった、その他の海軍の様々な資料も。その中には自衛官が言っていた回天のものもあった。
飾られている海軍士官の軍服を見てだ、琴乃は傍らにいる里香に言った。
「これがよね」
「ええ、この軍服がね」
まさにそうだとだ、里香も答える。
「回天の設計者でね」
「自分から特攻したっていうの」
「その人が着ていた軍服なのよ」
「凄いわよね」
琴乃jは軍服を見つつ呆然となっていた、そのうえでの言葉だ。
「自分で回転を設計、開発してよね」
「自分自身が特攻したのよ」
「そんなことする人いたのね」
「かつてはね」
あの戦争の時はというのだ。
「こうしていたのよ」
「私ちょっと信じられないけれど」
琴乃は彼女の中の言葉を出して言った。
「本当のことなのね」
「そう、六十数年前のことよ」
「今も生きてるというとね」
琴乃は六十数年と聞いてこう言った。
「やっぱり」
「ええ、おられるわ」
「そうなのね、まだそうした人も生きておられるのね」
「歴史のことだけれど」
だがそれでもだというのだ。
「生きておられる人もまだね」
「そういえば予科練だったっていうお爺さんもいるわね」
琴乃もこれまでそうした人に会っている、もうかなりの高齢ではあるが。
「予科練も海軍よね」
「ええ、そうだったのよ」
「じゃあここにもおられたのかしら」
「ここにはおられなかったわ。兵学校と予科練はまた別だから」
「あっ、そうなの」
「予科練は少年兵だったのよ」
里香は回天の設計者の資料を見ながら琴乃に話していく。二人はそこから別の資料のところに向かう、今度は真珠湾で散華した英霊達のところに行っていた。
「パイロットを養成するね」
「パイロットなの」
「そう、入ることは兵学校と同じ位難しくて」
「兵学校はあれよね、入ること自体も凄く難しかったのよね」
「日本で一番の難関だったのよ」
それこそ東大法学部よりだ。陸軍士官学校や武道専門学校と同じかそれ以上の難関だったと言われている。
「その兵学校と同じ位にね」
「予科練も難しかったのね」
「そうなの」
そこまでだったというのだ。
「軍服は七つボタンだったし」
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