第三十二話
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第三十二話 七人目になるのか
華奈子達がいる八条町にとある一家が引っ越してきた、その家には娘がいた。
その娘は自分によく似た、生物学的には自分に遺伝子を忠実に与えてくれた母親に対してこう尋ねたのだった。
「ねえ、もうすぐよね」
「ええ、そうね」
「ここに引っ越したし」
女の子は期待する声で母親に話す。
「明日から学校よね」
「そうよ、それでね」
「塾もよね」
「小学校は八条小学校だけれど」
「あそこ凄く大きいわよね」
既に入学手続きで入っている、それで彼女も知っているのだ。
「あんな大きな小学校あったのね」
「そうね、お母さんも驚いてるわ」
「しかも小学校だけじゃなくて」
「幼稚園から大学まであるなんてね」
無論様々な学部もその中にある。
「お母さんもはじめて見たわ」
「そうなのね、お母さんも」
「ええ、それに塾も」
母は自分から娘に言った。
「楽しみよね」
「どんな娘がいるのかしら」
娘はここでも期待する顔を見せる。
「そのことを考えてもね」
「楽しみよね」
「いじめられるかもって思うと不安だけれど」
このことは多くの子供が思ってしまう、誰もがいじめられたくはない。いじめは子供達、時には大人にとっても恐怖なのだ。
「それでも期待してるわ」
「頑張ってね、八条小学校でもね」
「うん、塾でもね」
「魔女としても頑張るのよ」32
母は娘にこのことも頑張る様に告げた。
「いいわね」
「塾でよね」
「そう。貴女なら出来ると思うから」
新しい塾でもだというのだ。
「塾の先生もいい先生達だからね」
「今田先生よね。魔女としても凄い人よ」
今田先生の名前は魔女の世界全体で知られている、魔法だけでなく人柄でも非常に高名なのだ。
「今日子先生もおられるから」
「お二人共世界的な魔女よね」
「だからその人達の授業を受けられることも」
娘は笑顔で言う。
「不安もあるけれど楽しみよ」
「その楽しみをずっと持っていられるわ、貴女は」
母はあえて娘を祝福する言葉を贈った、それを彼女への新しい門出への花としたのだ。
第三十二話 完
2013・4・28
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