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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
十年前の亡霊
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貫いた。
 老生体は、シキの体を無残に引き裂く自分のかぎ爪に満足したが、同時に手応えがなさすぎて違和感を感じ、素早く後ろに振り返った時には既に遅かった。
「遅い」
 内力系活剄の変化、疾影。
 殺剄の応用であるこの剄技は、老生体の知覚を騙すことに成功していた。
 そして、背後に回ったシキは拳を握り締め、剄技を放とうとしたが嫌な予感がして横に飛んだ。
 シキが飛んだのと同時に、もう一対のかぎ爪が飛び出してきた。
 地面を転がりながら、向かってくるかぎ爪を掴む。
「GAYAAAA!?」
「弱い」
 シキは力任せにかぎ爪を握りつぶし、そのまま引っ張る。
 老生体は引っ張られまいと、早々と潰されたかぎ爪を根元から切り落とした。引っ張っていたシキはバランスを崩す。
 そこに老生体は突っ込んだ。
 先程の攻撃で老生体はシキが、自分の速さに追いつけないと予想を立てた。
 だが、老生体は気づかない。突っ込んでくる老生体をしっかりと補足しながら、拳を握り締めるシキに。
「いい運動だったよ、あんがとさん」
 気づいたのは、老生体が一歩踏み出した時だった。すでに体勢を立て直し、目の前にいるシキ。老生体は久しぶりに恐怖というものを感じた。
 そして今度こそ、シキの拳が直撃した。
 外力系衝剄の変化、剛力徹破・咬牙。
 直後、鉄と鉄がぶつかり合ったような音が大地に響き渡った。
 外側からの衝剄と徹し剄による内外同時破壊。いくら老生体でも耐え切れる一撃ではない。ブチブチと嫌な音がした。
錬金鋼(リミッター)を持たないシキの剄技は今までのものとは桁違いである。しかし、手甲が無い状態で殴ったのでシキの拳からは血が吹き出る。
「GYAA……AAA」
「ミスった、武器がないとダメだな。……まぁ」
 シキは右足に剄を溜めて、咬牙が直撃した場所目掛けて回し蹴りを叩き込んだ。
 外力系衝剄の化錬変化、剛力徹破・風牙。
 要は、剛力徹破・咬牙を足技にしたものだが殺傷性を上げるために風烈剄も取り入れた複合剄技だ。
 衝剄が強固な老生体の鱗を破壊し、化錬変化させた剄弾が真空の刃となってその下をジタズタに引き裂き、最後は内部に流した徹し剄が内部から老生体の体を引き裂いた。
「ぶっつけ本番、簡単ルッケンスの応用剄技」
 なんて、言うがルッケンスの武門の者が見ていれば泡を拭いて倒れるのは目に見えている。
 崩れ落ちる老生体。だが、シキは未だ戦闘態勢を解かない。
「マジで?」
 シキは大地に立っている六体の人型老生体を見る。
 先ほど倒した老生体と似ているが、それぞれ剣、刀、槍、鉄球、細剣、薙刀に似た歪な武器を持っていた。
「……ヤバイな」
 一体ならまだしも六体同時に相手取るのは、今のシキには不可能である。
 六体の老生体は、一斉にシキの元
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