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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
十年前の亡霊
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はない、失敗すればそこで終わりなのだ。と、ミンスは勝手に思っていた。
 だが、それは被害妄想だった。最初からバレていたし、ただ手のひらで踊らされていたに過ぎなかった。
 それなのに、自分に酔ってとんでもないことをしでかしてしまった。
無抵抗の人間の腕を切り落としてしまった。到底許される行為ではない。
 ミンスの目から涙が溢れてくる。何故、あんなことをしてしまったのか。年端もいかない子供の将来を奪ってしまった事実に、ミンスは絶望する。
 体中が痛んだが、それを無視してミンスは泣き続けた。
 謝ろう、そうミンスは思った。


 老生体は都市から飛び出ると、地面にシキを叩きつけた。
 地面にめり込んだシキの頭に力を入れて、老生体はシキの死を確実なものにしようとする。
 負傷はしているが、正面では決して勝てない相手だと本能が理解していた。
 だが、人間がオーロラ粒子が満ちているこの大地に長く生きられないことを老生体は知っていた。このまま何もできない人間の、首を持ちジワリジワリと殺してやるのもいいと思った。
 食料が豊富な場所から、強大な力を持った人間もいたがコイツを盾にすればいいし、飛んできた物は破壊できる。
 傍から見れば、老生体の勝ちは決まっている。
 傷だらけの人間が、汚染された大地に生きることはできない。ましては体が出来ていない子供である。
 数分もすれば動けなくなり、物言わぬ骸になる……はずだった。
「それで終わりかよ」
 老生体はそんな言葉を聞いたが、強がりだと思って笑っていた。
 しかし、次の瞬間、頭を掴んでいた手が剄を纏った拳に粉砕される。
「GAYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?」
 老生体は絶叫しながら、シキから離れる。
 何故、何故、何故何故何故何故!? 驚愕している老生体を尻目に、シキはゆっくりと立ち上がる。
 突然のことで、反応できなかったが外に出た瞬間、シキの身体に異変が起きた。
 傷口が熱くなったと思ったら、塞がっていくのを感じたからだ。ご丁寧に内蔵も治ってきている。
「なんでか知らないが、普通に呼吸できるな」
 以前、誤って都市外に落ちた時は呼吸をする度、喉に痛みを感じたのに今はそんな物は感じない。むしろ、美味しいとも感じられる。
「GYAAAA……」
 シキはこちらに殺意を向ける老生体をゆっくりと見る。
 人型の汚染獣を見るのは初めてだが、以前、デルクが現役時代の話をしている時にそんな老生体がいた、といったことを覚えていた。
 首を鳴らしながら、シキは体をほぐす。
 寝たきりだったせいで、大分体が鈍っているのを確認できた。
 そんなシキの姿を見て、チャンスだと思ったのだろう。老生体は背中から四対のかぎ爪を出して、シキに向かって伸ばす。
 そしてシキを
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