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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
十年前の亡霊
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 剄の全てを活剄に回す。
 今も血が流れ続けているのだ。このままでは大量出血で死ぬのがオチである。
 全力で活剄に回しているので、五分程度で傷口は塞がるだろう。
「で? ここはどこだよ、てかさっきはノリで殴ったけど大丈夫かな」
「シィイイイイイイイイイイイイイキィイイイイイイイイ!!」
 と、シキが見慣れない風景に首を傾げていると聞き覚えがある声が聞こえてきた。
 首だけ動かし、後ろを振り向くとそこにはアルシェイラ、シキにとってはシノーラが立っていた。
 目をうるうるさせながら、虚空を手でこねている。
 多方、抱きつきたいけど大怪我だから抱きつくのを我慢していて、誰かの胸をエアタッチしながら我慢しているのだと当たりを付ける。……はっきり言って最悪である。
「なんて無茶するのよ! あんな奴、シキが手を出さなくても良かったのに」
「無茶というか……てか、ここどこ!? なんでシノーラさんいるの!?」
「えっと、それは」
「いい加減言ったらどうですかな? いつまでも隠し通せるものではありませぬ」
「ティ、ティグリスさんまで……って、サヴァリス!?」
 シキは目を丸くして驚いた。
 ティグリスもそうだが、その後方でよく見た人たちが倒れているではないか。
「おいおい、天剣授受者たちが倒れているとかどんな化物が来たんだよ」
 シキは頭を抱えながら、絶望する。
 しかし、そんな状況を見て笑う、アルシェイラとティグリス。
「あぁ、それはわたしがしたのよ」
「ハッハッハ、ご冗談を」
「冗談ではないぞ、シキ。お主もウスウス気づいてるのじゃろ?」
「……えっと、あの、シノーラさんって何者?」
 シキは頬を引き攣りながら、シノーラに質問する。
 そしてシノーラは笑みを浮かべながら、ゆっくりと言った。
「シノーラ・アレイスラとは仮の姿! 正体は……グレンダンの女王! アルシェイラ・アルモニスよ!」
「ちなみにホントじゃぞ? 小僧」
 変なポーズと共に盛大に正体を明かしたアルシェイラの奇行に唖然して止まり、トドメのティグリスの一言でシキは固まった。
 こういう時にティグリスが冗談を言うわけないので、本当のことなのだろう。
 息を吸い、シキは声と共に吐き出した。
「うそだぁああああああっ!!」
「ホントよ、ホント」
 シキは髪をグシャグシャにしながら笑っているアルシェイラを睨む。
 そりゃ、いつも絡んできた年上の女性が都市の最高権力者など誰が思うか。感覚的には、バイトで仲良くなった人物が、実は店長だったと同じくらいの衝撃がシキを打ちのめしていた。
「あぁっ、もう! 後で、事情を……」
 シキの言葉が続くことはなかった。
 ソイツが高速でシキの目の前に立ち、顔面を殴ったからだ。
 気を抜いていたシキは、何の抵抗もでき
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