第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
十年前の亡霊
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に刺さった錬金鋼は跳んだ時と着地した時の衝撃で容赦なくシキの腹部をぐちゃぐちゃにする。
目指すは王宮の空中庭園。そこに女王と天剣たちはいる。
ミンスは出来るだけ激しく、血が飛び散らないように移動する。
何故、ミンスがここまでシキを痛めつけるのか、ミンス自身も理解していなかった。武芸者としての嫉妬か、あるいは孤児でありながら女王と天剣たちに一目置かれる存在だからか、あるいは本気で気に入らないのか、それともその全てか。
ただ言えることは、このままシキの身体が真っ二つになってもミンスは気にしないという残酷な現実があるということだ。
王宮にはすぐに着いた。
そこには地面に転がっている天剣授受者たち、傷一つついていない女王がいた。
ミンスは目を疑ったが、驚く程精神は落ち着いていた。
だから、こんな風に女王の前に姿を見せたのかもしれない。
「これはこれは女王陛下、汚らしいものを見せてしまい申し訳ありません」
「ミン……シ、キ?」
その瞬間、ミンスの心に歓喜が沸き起こった。
あのアルシェイラが、あのグレンダン最高権力者が、信じられないと言った風な目でこちらを見てくるのだ。まるで大切な物を目の前で壊されたように。
ミンスの唇が上がる。
「あぁ、この孤児ですか? 陛下のために『持って』まいりました」
錬金鋼を突き出し、シキの現状をこれでもかと見せつける。
その状況に、倒れていた天剣授受者たちも唖然としていた。
「ミン、ス様。これ、は……一体」
「あぁ、コレが秘策だ。邪魔するつもりはなかったが、君たちが倒れていたのでね」
「くそった、れ! ざけ、んな」
血反吐を吐きながら、バーメリンがミンスを睨みつける。
さすがに剄を活剄に回さなければ、回復できないのか。ミンスは圧倒的な剄の圧力を感じにすんだ。
他の天剣たちも、ミンスを睨みつけるが誰ひとり立っていないが、ある意味で幸運であったと言えるだろう。
天剣たちの身体が動けば、ミンスは無残な死体になっていただろう。
その点、アルシェイラが事前にダメージを与えていたことは幸運であった。
「……で? 何が目的なの?」
「決まっている。何故、私ではなく十歳の子供が天剣に選ばれた! 貴様の陰謀だろう、女王!!」
ミンスは指を指しながら、アルシェイラに言い放つ。
だが、アルシェイラの反応は無言であった。普段の彼女ならば、冗談の一言でミンスを両断するのに、今はそれがない。
カルヴァーンはそんなアルシェイラの様子を見て、ハッと気づき、ミンスに警告する。
「ミンス様! 今すぐ、その武芸者を解放し、お逃げください!!」
「何を言っている、こいつがいる限り、アルシェイラは……」
次の瞬間、ミンスの動物的本能が最大級の警告を流し始める。
体が震え、
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