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IS<インフィニット・ストラトス> ‐Blessed Wings‐ 
第二章 『過去と記憶』 ‐断片‐
第28話 『姉と妹』
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。  あ、決して空を自由に飛びたいなとか、そんなジョークじゃないよ? 私の、束さんの本心なんだ』


昔、姉さんはそう言っていた。そしてその時の姉の目と力強さは――幼少の私でもよくわかった。
何故姉さんがISという物を作り出したのか、私には多少なりとも理解は出来ていた。

きっと姉さんは、ただ『宇宙』を目指したかったのだ。
理由としてはそれだけで、本当は『戦争』の道具にしたり『兵器』を作るつもりなんて無かった。

姉さんは、自分勝手で我侭で。
周りのことなんて何一つ考えてなくて、自分の身勝手で周りを振り回して。
ISを作ったことにより、私を傷つけて、そして家族を引き裂いた。

そんな救いようの無い姉かもしれないが、私は――完全には姉さんを嫌いにはなれないでいた。


本当は、姉さんは優しくて、自分なりの方法で私のことを考えているということ。
昔から自分勝手にしているように見えて、実は心配しているということ。
恐らく誰よりも――自分がISを生み出して、それを『兵器』として使われて嘆いているということ。

私は一瞬迷った。
姉さんがこんな時間に、一体私に何の用件だろうか。
だが、私も……聞きたい事は色々とある。
ならば丁度いい、姉さんに聞いてみようじゃないか。
そのまま私は携帯電話の通話ボタンを押した。


「……もしもし、姉さん?」
「やぁやぁ、箒ちゃん。久しぶりだねー元気にしてたかなー? 学園に行って色々あったって聞いたからね、束さん心配しちゃったよー」
「――ええ、元気にしてますよ。 それで、何の用件ですか?」
「あはは、まったくもう冷たいなあ箒ちゃんは――ねえ箒ちゃん、ちょーっと訊いてもいいかな?」
「? 何ですか?姉さん」


「――絶対的な力、欲しくない?」


ドクン、と自分の心臓が跳ね上がる。
今――姉さんはなんと言った?
『絶対的な力が欲しいか?』それは、一体……

「どういう意味ですか、姉さん」
「言葉通りの意味だよ? 絶対的な力――ISっていう、それも束さんお手製の最高の力。何者よりも上を往く最強の力、欲しくない?」

それはまるで、悪魔の囁きだった。
とても甘美で、手を伸ばしそうになる――そんな誘い。
人である以上、そんな誘惑には簡単には逆らえないのだから。

そして私は……周囲の全員に対してコンプレックスを抱いていた。
『自分に力があればどれだけいいか』
そんな事――もう数えるのも嫌になる位に考えた。

そしてきっと、昔の私なら……手を伸ばしていただろう。
姉さんに対して、力が欲しいといっただろう。
それこそ、何の考えも無しにだ。

だけど、今の私は違う。
違うからこそ――私は返答を返した。


「そんなもの――いりま
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