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IS<インフィニット・ストラトス> ‐Blessed Wings‐
第二章 『過去と記憶』 ‐断片‐
第28話 『姉と妹』
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だけど、欲しいと願ってもそれが怖かった。
「本当に、何をしてるのだ――私は」
そうだ、力がないなら、私に出来ることを私らしくやろう。
そう決めたではないか。
無い物を強請っても仕方ない、現実を見ろ、篠ノ之箒。
私は考えを中断して、星空を見てため息を再びつく。
そろそろ冷えてきた、やはり何か羽織ってくればよかったと後悔する。
戻ろう、千冬さんに見つかればかなり不味いし、それにもし一夏が目を覚ましていて私が居ないのを見れば心配するだろう。
そう思いながら私は、屋上の手すりから手を放して踵を返そうとした。
その瞬間に――携帯が鳴り響いた。
といっても、時間が時間のためにマナーモードにしてあるため振動したのだが。
誰だ?こんな時間に――
どうせワン切りや悪戯、そんなものではないかと思って発信元を確認した私は、
それを見て――驚いた。
「――姉、さん?」
発信元は、己の姉であり――自分としてはあまりいい感情を持っていない『篠ノ之 束』その人からだった。
私は姉さんの事をあまりよく思ってはいない。
その理由は、今の社会の象徴、力の象徴と言っても過言ではないISにあった。
今の私達家族は、姉さんがISを発明して以来、一家離散の状態が続いている。
私は、小学4年生の時から政府の重要人物保護プログラムにより日本各地を転々とさせられていた。篠ノ之束の関係者であり家族だから、という理由を政府に押しつけられて、そんな状況を幼少より強いられた。
そして姉さんが失踪してからは政府や周囲から執拗な監視と聴取を繰り返されて、正直な話私自身、心身共にかなりの負担を受け続けてきた。
――誰にも言っていないのだが、そんな周囲の状況と、自分の辛すぎる現実に一度だけ、『自殺』を試みた事もあった。
だが、それは『ある人物』によって防がれた。偶然昔知り合った、ある人物。
ニヒルな男の人で、人のことをフルネームで呼ぶ癖があり、周囲に対して冷めた目で見ていると思ったら、実は熱血の部分もある、私にとっての――あの時の私の心を救ってくれた恩人であり、恩師によって、私の自殺は防がれた。
そんな自殺未遂から色々あって――中学を卒業した私は、『篠ノ之束の妹』と言う理由でIS学園に入学させられた。
だから私は、姉さんに対してあまりいい感情は持っていない。というより、できれば関わりたくないとも少し思っていた。
けれど、自分の姉に対する感情を憎しみや憎悪かと聞かれれば、正直即答でイエスとは言えなかった。
それは、かなり昔――まだ自分が小さかった頃に姉さんが私に対して語っていたある夢が原因だった。
『箒ちゃん、私はね――この広い空を、ううん、満点の星空――
宇宙
(
そら
)
を、飛んでみたいって思うんだ
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