暁 〜小説投稿サイト〜
IS<インフィニット・ストラトス> ‐Blessed Wings‐
第二章 『過去と記憶』 ‐断片‐
第28話 『姉と妹』
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アリーナでの一件については、もうほぼ沈静化したが、それとは別で私には1つのイベントがあった。
保健室に一夏を見舞った際の帰り道、鈴に呼び出されて告げられた言葉があった。
私としては、友人としてもあの場で戦っていた鈴も怪我の度合いは低くとも疲労があるんじゃないか、と心配していたが、鈴の言葉はそんな考えを一瞬で吹き飛ばした。
『箒、あたしは箒のことを友達だと思ってる――だけど、これから話す事は別。 あたしは、一夏が好き、あんな鈍感で朴念仁でたまに最低なことも言うけど、それでもあたしは一夏が好き――箒も、きっと一夏が好きなんだよね? だから、友人としてじゃなくて一人の女として宣戦布告。あたしは、一夏を諦めたりなんてしないから。だから――負けないからね、箒』
それは一夏に対して好意を寄せる、私に対しての宣戦布告だった。
友人としてではなくて、一人の女としての宣戦布告。
鈴が一夏対して何かしらの感情を持っているのは知っていたし、それが恐らく好意だろうという事も知っていた。
だからこそ、そうやって面と向かってちゃんと宣戦布告されて――私も礼儀として、女として、ちゃんとした返答を返そうと思った。
『ああ、私も一夏が好きだ――どうしようもなく鈍感で最低で、そしてあいつは鈴も知ってると思うが女性からの好意に簡単には気がつかない。だが私も、それでもあの一夏の信念に、意志の強さに惹かれている。私も――女としては譲る気はない』
そう、鈴に対して正面から告げた。
それは私からも鈴に対する宣戦布告。同じ一夏を好きだと思うものに対しての、絶対に負けないという、私が一夏を振り向かせるという宣戦布告だった。
まあ、それで私と鈴の関係がどうこう変わる訳ではないのだが。
そして今、私は寮の部屋を抜け出してこっそりとこの屋上へと来ている。
5月にしては少し風が冷たくて、寝巻きのままの私は何か上に着てこればよかっただろうかと考える。
ふと見上げた空は――雲1つなく、星空が広がっていた。
そんな星空を見ながら、私は今日あった事を自分自身で考える。
「……無力だな、私は」
そんな言葉が呟きとして漏れる。
不意にもれたその言葉は――きっと、私自身の本心だったのだと思う。
あの時、悠とアリア、セシリアが<Unknown>と戦った代表決定戦の時、私はただ見ていることしか出来なかった。
そして今日、化け物と言ってもいい『異形』が現れたとき――また私は、最も近い場所にいるのに見ていることしか出来なかった。
友人が、最愛の人が、命を賭けて戦っている。
命を賭けて何かを成そうとしている。必死になっている。
それにのに私は――最も近い場所で見ていることしかできなかった。
悔しい、何も出来ない、友の力にも、最愛の人
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