強さと戦い方
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
<リムルダール>
「………ハツキ………君は弱くないよ。思っている程、弱い存在ではないよ。ただ……」
リュカは瞳を閉じ、深く考えるかの様に沈黙を作り出す。
そして瞳を開け語り出した言葉は、
「『強いから勝つ』のではなく『勝ったから強いと思われる』事なんだ…」
「「「「……………」」」」
誰もが額にシワを寄せ、リュカの言った意味が理解出来ないでいる。
「あ、あの父さん…『勝つ』と言う事は『強い』と言う事でしょ?…仰っている意味がちょっと………」
「違うよ…弱くたって勝つ時もあれば、強くたって負ける時もある!今日のハツキみたいに、格下の相手に負ける事だってあるさ」
「か、格下…ですか…でも…負けちゃいましたよ、私…どうしてですか?」
ハツキにはナールが格下だとは思えず…また格下に負けたと認められず、涙を零しながらリュカへと詰め寄り、今回負けてしまった理由を問いただす。
「うん。バラモスとの戦いを思い出してごらん。……勝つ事が出来たけど、あの時のみんなはバラモスより強いと思えてる?あの時に戻って、もう一回バラモスと一人ずつで戦ったら、勝てると思ってる?」
「いいえ…あの時勝つ事が出来たのは、リュカさんがバラモスの攻撃を一手に引き付けてくれたお陰だと思ってます。例え今の私達の実力でも、1対1では勝てるとは思いません」
メンバー中、短期間ではあるが一人で戦った経験のあるアルルが、自らの実力に多少の驕りのある一同の代わりに、リュカの質問へ答えた。
「うん。素直でよろしい…頭ナデナデしてあげよう」
アルルの答えに満足したリュカは、ティミーの目の前で彼女の頭をナデナデし、当のアルルもちょっと嬉しそうに顔を赤らめる。
「だ、だとしても…僕等は仲間なんですから、1対1で戦う事を前提にする必要は無いじゃないですか!」
頭を撫でられ嬉しそうにするアルルに嫉妬したティミーは、目の前を横切るリュカの腕を力一杯払い除け、アルルの頭を抱き締めながら父親に突っかかる。
「だからそれが『強いから勝つ』と言う事では無いって言ってんの!」
彼氏の抱き締められ温もりにトリップしているアルルを除き、皆がリュカの言っている意味を理解出来ないで居ると、
「あぁ…そう言う事ですか!だからあんな戦い方をして見せたのですね!?」
いち早く解ったラングストンが感嘆の呻きを上げながら、本気でリュカを尊敬し始める。
「え!?あの相手を馬鹿にした戦い方に、意味があったんですか?」
「無意味にあんな事をする訳ないだろ………説明してやっから、イチャつくのをヤメロ!」
アルルも彼氏から離れようとしないのだが、ティミーも彼女を抱き締めたまま離さないでいた。
「「………はい」」
渋々離れる勇者カップル…真面目に話そうと思っていたので、ちょっと
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ