強さと戦い方
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苛つくリュカ…
「いいかい…僕はあの馬鹿を初めから見下し貶してた。それは怒らせ、冷静な判断を下せない様にする為なんだ」
「冷静な判断…」
「うん。冷静に状況…戦況と言うべきかな…戦況を見る事が出来ると、戦い方の選択肢が増えるんだよ。でも頭に血が上ってると視野が狭くなって、戦いの手数も減るんだ」
「でも父さんだったら、あの男相手にそんな事をしなくても勝てるでしょう!?」
「う〜ん………どうだろうね?勝てたかもしれないけど、今回は戦い方を見せようと思ってたから…」
「ティミー殿。リュカ殿は如何なる時も必勝を目指すという事を仰ってるんですよ!『リュカ殿ならば…』という事は言わず、続きを聞きましょう!」
武人にとってこれ以上ない勉強のチャンスに、『その必要は無いのでは?』と話の腰を折るティミーに苛つき、珍しく声を荒げて苦言を言うラングストン。
「す、すみません……」
「うん…ラングの言う通り、常に必勝を心掛けなければ危険だよ。僕は幼い頃、ゲマに負けた所為で父を目の前で殺されたんだ…『もっとちゃんと戦っていれば負けなかった』なんて言い訳は出来ない!」
ティミーも分かってはいるのだが、リュカが偉大すぎて思わず言ってしまったのだ。
それが解るリュカは、優しく頭を撫でながら息子を諭す。
「さて…相手の手数を減らした所で次だ…次は減った手数を更に限定する為、あえて不利な状況を作ってみせる。今回は杖を地面に刺し、これが地面から離れたら負け…って感じに」
「何故それが相手の手数を限定する方法なのですか?」
今回ナールに負けてしまったハツキは、一同の中で最も真剣にリュカの話を聞いている。
「それはねハツキ…今回、この杖が僕の弱点になっていたからだよ」
普段は賢いマリーも戦いの事となると不得手な様で、リュカの言っている意味が解らず小首を傾げている。
「つまりねマリー…相手の弱点が分かっていれば、そこを重点的に攻撃するだろ?だから相手の手数が減るんだよ。弱点である杖を攻撃すると分かっていれば、カウンターを取るのは簡単だろ」
「あぁ!!」
感嘆の呻きと共に首をコクコク頷かせる少女。
「でもリュカさん…何処を攻撃する分かっても、攻撃の仕方が分からなければ対応のしようが無いのでは?」
彼氏の温もりにトリップしていたアルルだが、何時の間にか正気を取り戻しておりリュカの戦法に疑問を投げかける。
「ふふ…だからこそ僕はアイツに星降る腕輪を渡したんだ。腕輪を装着すれば分かるが、このアイテムの能力は凄い…一度使ったら、是が非でも手に入れたくなるだろう。となれば相手の弱点を徹底的に突き、完全に勝利を物にしようと考えるだろう…更に言えば、急激に素早さが上がり強くなった様な気になっていれば、その素早さを駆使して僕の死角から
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