十三話 後
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し剄をただひたすらに練る
剄が錬金鋼に流れるのが分かる。だがまだ足りない。
????これでは切り裂けず、刃は届かない
剄の密度を上げ、練り上げられた剄をただひたすらに錬金鋼に流す。
????まだだ、あの跳ね上がった剄には対抗できない
体内に響き渡る錬金鋼の悲鳴を拾い上げる。ぎりぎりまで込め、乱れる音を意識する。
????だが、そんなものでは到底足りない
ならば意識しろ。流れる剄を。込められぬのなら流し続けろ。不意に思い上るイメージは幾重にも重なる剄の層。刃物が幾重にも熱され、その層を重ね刃を研ぎ澄せていくイメージ
ならば剄の層を作り上げろ。ぎりぎりまで込めた剄が幾重にも折り重なり、剣の外側を流れ巡回する様をイメージしろ
レイフォンはただひたすらに意識し自分に言い聞かせる。イメージの上で作り上げられた層が乱れるの様に、とうに許容量を超えているはずの剄で、今にも荒れ狂い形を変え爆発しそうな剄で最後の武器が壊れぬように乱れぬイメージを、研ぎ澄まされた刃を作り上げる。
????ああ、これなら
今出来る最善が何とか形に収まり、その手ごたえを感じた瞬間、それを見計らった様にジルドレイドが動く
「お前の技を借りるぞ」
その中で練られる剄を見てレイフォンは理解する。あれは今日自分がニーナに見せた技の亜系。だが、そんなことは別にどうでもいい
迫る相手をただひたすらに見やる。少しでも動けば形を崩しそうな剄を解き放つ瞬間を意識する
自分と同じように剄を十分に練ったジルドレイドの動きは閃光のごとく自分との距離を詰め、鉄鞭が動く
ジルドレイドの右足が地を蹴る。前方で腕が交差し、逆側の脇腹に控えられた二つの鉄鞭が腕の動きと共に前に出る。???まだ早い
ジルドレイドの右足が宙に浮き、左足が地に触れる。開かれていく腕の交さにつれ、二つの鉄鞭は手元でかち合い、交差点を先の方へとずらしながら迫る。????あと少し
????活剄衝剄混合変化・双牙衝
ジルドレイドの左足が地を踏みこむ。交差点が近づき、ジルドレイドの技が放たれ剄の圧力で吹き飛ばされそうになる。????今!
相手の背狼衝が放たれる一瞬前。レイフォンは右足を振り上げるのではなく滑らせるように前に出し、踏込と同時に剣を振り、剄を解き放つ
もはやそれは技ですらない。ただひたすらに剄が重ねられた剣を、抜打ちに近い、自分が慣れ親しんだ形を以て振るう
少しでも早く。少しでも速く。相手の武器が自分に届くよりも先に自分の刃が相手を切り裂くようにとそれだけを意識して振るう
双鉄鞭がまるで鋏の様に自分を包み左右から押し潰そうとする中、自分の今までの中で最速と言ってもいい速度で迫る剣が互いに刹那の距離まで近づきあい????
「????見事」
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