十三話 後
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うと首を振る
「大祖父さまのほうが強いのは別にいいんだよ。でも、剄量は別だ。あの時に何があったか覚えてる?」
「覚えているさ。あの時はレイフォンが錬金鋼に……あ」
少し前のことを思い返し、ハーレイが言わんとすることを理解し言葉が止まる
「そう、それだよ。????どうしてそんな剄に耐えられる錬金鋼を、ニーナの大祖父さまが持っているのさ?」
「流石に全部は無理か。だが支障はなし。小手先ばかりかと思えば、それも馬鹿にしたものではないらしい。この歳で教えられることになるとはな」
「どう、して……。その錬金鋼はまさか……」
確かに自分の技はジルドレイドを捕えたはず。今の今までジルドレイドの剄量は自分より上ではあったものの、錬金鋼に込める剄の量は自分とそう変わらなかったはず。押し負けていたのも剄量差からくる活剄の差と技術や体格差、筋肉量などであったはず
そしてそのままならば確実に入ったはずの自分の技。届いていたはずの刃は、錬金鋼に注がれる剄の量が跳ね上がったことで打ち破られ、届いたのは僅か一刀。頬の赤い一筋の流れがその結果
それをなした原因を、ありえない量の剄が注がれてもなお白熱せず形を保ち続けるジルドレイドの双鉄鞭を凝視する
「そう睨むな。これはお前が知っている物とは似て非なるものだ」
「天剣じゃ……ない?」
「然り。これはお前の都市に有る、文字通り天から与えられた剣ではない」
悠然と佇み、レイフォンの疑問に答える様に、何かを思う様にジルドレイドは言葉を続ける
「無力を嘆き、力を託すことしか出来ぬ己を嘆き、それでもなお悪意に立ち向かわんと志し、共に縄を編まんと決めた同志が託した命の刃だ。もっとも、基本的な性能はお前の知っている物とそう変わらん。
……見たところ、もうそうは戦えまい。次で終いとしよう」
「……分かりました」
「アルセイフよ、ならば小手先を捨て、次の一撃に己の全力を注ぎこめ。そうして見えてくるものもあろう」
言われるまでもない、とばかりにレイフォンは剄を剣に込めていく
既に幾多もの打ち合い、何度も許容量限界近くまで込めた剄のせいで既に今使える手持ちは手にある青石錬金鋼一つ
ぶつけ合うつもりがない以上、最後の一撃の武器が硬さではなく剄の伝導率が高いこれなのを幸運と思うべきか
互いに全力を尽くすべく、剄を練る中ジルドレイドが口を開く
「ここまで爺の我儘に付き合ってくれた礼だ。特別に見せてやろう………テントリウム」
僅かな呟きと共にジルドレイドの剄が跳ね上がり、黄金の輝きが強くなる
その初めて見る現象に、陽炎のように見える何かの姿に内心驚きを持つが、することに変わりはないのだからとレイフォンは意識を一層鋭く
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