第三十話 神社の巫女その八
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「だからひょっとしたらね」
「江戸時代生まれかも知れないのね」
「まさかそこまでって思うけれど」
「二人共何のこと話してるのよ」
茉莉也は今は自分の後ろに位置していて話してい二人に顔を向けてそのうえで問うた。
「仙人がどうとかって」
「あっ、何でもないです」
「気にしないで下さい」
「とにかくあの博士のことは置いておいてね」
そのうえでだというのだ。
「ここもどうやらね」
「泉じゃなかったですね」
「そうみたいですね」
「ええ、そうよ」
いささか残念そうに二人に話す。
「残念だけれどね」
「じゃあ次ですね」
「次に行くべきですね」
「そう、ないものは仕方ないわ」
それならとだ、茉莉也もこう言うのだった。
「次に行って来てね」
「次、ですか」
「今度は何処でしょうか」
「野球部のグラウンドね」
そこだというのだ。
「あそこの一塁側のベンチね」
「野球のグラウンドのベンチですか?」
「そこですか?」
「そう、そこよ」
そこに行けばいいというのだ。
「グラウンドとその奥や観客席、そこの境目でしょ」
「そこはざかいだからですか」
「泉であるかも知れないんですね」
「そう、あそこもね」
そうなるかも知れないというのだ、泉かと。
「だから行ってみたらどうかしら」
「うん、それじゃあですね」
「次は」
「そう、何なら私も一緒に行っていいかしら」
「えっ、先輩もですか?」
「一緒にですか」
二人は茉莉也の今の言葉にぎょっとした顔になった、そのうえで二人でこう返した。
「あの、その時代も飲んでおられますよね」
「今みたいに」
「毎晩飲むのが私の日課よ」
これが茉莉也の返答だった、どやといった感じの顔も見せている。
「だから当たり前でしょ」
「いや、三升も飲まれますし」
「それですと」
「いいじゃない、三人一緒でね」
「だって先輩セクハラされますし」
「本当に何をされるかわからないですから」
「言ってくれるわね」
とは言っても全く動じていない茉莉也だった。
「女の子同士だから全然いいじゃない」
「全然大丈夫じゃないですから」
「というか同性同士でも性犯罪は成立しますよ」
聖花は弁護士志望の立場から突っ込みを入れた。
「注意して下さいね」
「世知辛いわね、どうにも」
「世知辛いじゃなくて本当にそういうことしないで下さいね」
茉莉也に対して真剣に突っ込みを入れる。
「訴えられても文句を言えないですよ」
「まあいいわ。とにかくね」
「とにかく、ですか」
「今度は野球のグラウンドに行くといいから」
泉の候補地の話は的確に教えるのだった。
「そこに行きなさい」
「わかりました、じゃあ次は」
「そちらに行かせてもらいます」
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