TURN73 思わぬ復活その六
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「何処の軍だ!?エイリスの援軍か?」
「いえ、あれはドクツ軍です!」
「ドクツ軍の艦隊です!」
「艦隊数二十!」
「かなりの多さです!」
「馬鹿な、ドクツ軍にまだそんな艦隊がいるか!」
コンドラチェンコはその報告を即座に否定した。
「ベルリン駐留艦隊も崩壊したんだぞ!それでどうして二十もいる!」
「しかしです!」
「実際にモニターに出ています!」
「見せろ!」
コンドラチェンコも思わず叫んだ。そしてモニターを点けさせると。
そこに確かにいた、ドクツ軍の大艦隊が瀕死の重傷の彼等の前にいたのである。これにはさしものコンドラチェンコも酔いを醒まして言った。
「どうなってるんだ、これは」
「あの、コンドラチェンコ提督」
リディアがモニターに出て来て普段の彼女とは違う青くなっている顔でコンドラチェンコに対してこう言ってきた。
「あれは間違いなくドクツ軍です」
「ああ、そうだな」
「しかも二十個艦隊もいますから」
「この状況でそれだけのドクツ軍の相手か」
コンドラチェンコの顔が険しくなる。
「まずいな」
「勝てません、とても」
「壊滅するな、どうすればいいんだ」
「全軍一時撤退だ」
ジューコフがここで決断を下した。
「この状況では勝てない」
「あの、それにです」
リディアはドクツ軍の広報を見た、そこにはだった。
「楔形の巨大な、あれは」
「えっ、あれはまさか」
リトアニアがリディアが見ているとそれを確認して声をあげた。
「サラマンダー!?まだ生きていたの!?」
「えっ、サラマンダーって」
「あの伝説の大怪獣の!?」
ラトビアとエストニアがその名前を聞いて青い顔になった。
「死んだ筈だけれど」
「伝説の勇者ベイオウルフに倒された筈じゃないの!?」
「その筈だけれど」
だがそれでもいる、それでリトアニアは言うのだ。
「まさか、まだ生きていて」
「ドクツ軍が持って来ているのかな」
「操っていて」
「エイリス軍がいても勝てないですよ」
ウクライナも蒼白になっている。だが胸は今も揺れている。
「ドクツ軍に加えてサラマンダーもとなると」
「ここはどうしますか」
ベラルーシも何とか己を保っている顔だった、その顔でジューコフに対して問うた。
「元帥は撤退と仰いましたが」
「はい、その通りです」
「一刻も早く決断しなければ敵の攻撃を受けますが」
「全軍即座にシャイアンまで撤退です」
ドクツ本土から去るというのだ。
「そうしましょう」
「そうですか。それでは」
「この状況でドクツ軍だけでなく大怪獣の相手なぞできません」
それは最早論外だった。
「ですからここはです」
「わかりました。それでは」
ベラルーシは小さく頷いて答えた。そしてだった。
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