before charge:紅姫と幻視の魔王
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「ちょっとあんたたち!待ちなさい!」
──とある日曜日。
いつものように相棒を連れ、渋谷駅ハチ公前で女子大生やらJKなんかを、片っ端からナンパしていたらとんでもないヤツに目を付けられちまった。
俺様の名前は紫桜 七音(しおう ななと)。
誉れ高き武偵高の強襲科2年に所属するイケイケな野郎さ。
ショート丈七分袖に改造した防弾制服。
インナーのシャツの裾は燕尾、防刃ネクタイは太く短めに結っている。
腰パンはもちろん、刀入れを担ぎ、拳銃をぶら下げ、次いでにネックレスやピアスはじゃらじゃら付けている。
巷で言う、いわゆるチャラ男ってヤツか。
まぁ見ての通り、武偵高じゃあ言わずと知れた変わり者だ。
「ちょ、ちょっと待ってよ七音!急ぎすぎだよ!」
「捕まる前に逃げるんだよバカ!チンタラ走ってられるか!下手すりゃ蜂の巣だぞ!?」
あ〜、相棒の紹介が遅れたな。
艶やかな金髪のポニーテールを靡かせながら、俺の隣を息を切らして走る童顔の子。
背が低い上に高い声や女の子らしい仕草、この童顔だけなら女って言ってもバレないだろうが、実は歴とした男だ。
コイツの名前は紅花 一哉(べにばな かずや)。
武偵高の探偵科2年に所属する、ちょっと有名な変わり者だ。
俺たちは1年前から変わり者コンビとして武偵高じゃ話題になっている。
まぁ学校は最近、フケているから別にいいのだが。
──で、先ほど。
すれ違ったピンクブロンドのツインテールにワンピースを着た女の子が、あまりにも可愛かったので相棒を連れてちょっかい出したら……。
別な誰かと勘違いされてしつこく追っ掛けられる羽目になってしまった。
「止まりなさいっていってるでしょ!止まらなきゃ風穴開けるわよ!」
「止まれと言われて素直に止まるバカじゃないんでね!ましてや風穴開けられるなんて死んでもゴメンだな!でもエッチなことをしてくれるなら止まるけど!」
「え〜、エッチなことしてくれるなら止まるんだ。七音の変態。スケベ」
「……う。お前に言われると妙に凹むな」
「他人の話を聞きなさい!ただちに止まれ!聞こえないの!止まれ止まれ止まれぇ!」
鼻に掛かる幼い声にビックリしつつ、振り返ってよく見てみたらどっかで見たことがある顔だ。
……気のせいか。
歩道を歩く人込みを掻き分け、掻い潜り、必死に彼女の追跡を回避しようと試みる。
しかし、俺たちを見失うことなく死に物狂いで俺たちに食い付いてくる。
……なんて執着心だ、恐れ入るぜ。
こうなったら捕まるのも時間の問題。
とにかく捕まったらいろいろ面倒だし、どうにかして逃げ切りたいところ。
「ねぇ七音?どうするの?なんかあの子、すっぽん並みにしつこいよ?」
「ちっ、逃げ切れねぇか。なら最後の手段を使うか」
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