十三話 前
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攻撃はせず、基本受け流しての流れでの攻撃しかしないとはいえ、それでも技術の差があって最初の頃は惨敗し、負け数も二桁を越えていた
だが、今では負けるまでの時間も長くなり、最初から比べればレイフォンも少し攻勢に出る機会も増えたが負け数は一桁に収まっている
ニーナ自身、段々と自分の実力が上がって行っているのは分かるし、このままいけば負ける数も減り、剄量を抑え手加減されているとはいえある程度互角の勝負が出来るようになれるかもしれないということは分かっている
だがそれでも、一方的に負け続ける今の状況でモチベーションが上がる気もせず、掛けられた言葉にも溜息しか出ない
第一、と掴まれた自分の腕を軽く振りながらその部分を巡る剄に目を凝らしながら思う
(剄の流れなど、見たところで余り分からないのだがな……)
剄の流れを見れば次に相手が行う行動も大体分かるし、その流れを再現すれば技も出来るとはレイフォンの言葉
そのため、こうした組み合いの間も相手の剄の流れを見るようにとニーナは言われ、レイフォンもそれを手助けするようにしている
レイフォンが行動に移る際、手に剄が集中していれば手が向かい、足に集中していれば足が向かってくるようにと次に動かす部分の剄の密度を高めるようにして動いているらしい。らしいが、ニーナにはそれが良く分からない
そもそも相手の剄の流れを見ることさえ、そのことに集中してあまり動かずにしなければ良く見えない上、見えたとしてもどこに集まっているかと、どの辺を流れているかがなんとなく曖昧に見えるだけで、どのように練られているのかなど全く分からない
技の再現というのも、その理屈自体は理解できるのだが、どうしてそれがそのまま出来るのかが全く分からない
それだというのにそれを当然の様に行い、どうしてそれが出来ないのか分からないといった風に、出来て当然ではないのかという様に言葉を口にする存在がニーナの目の前にいる
普通なら屈辱の様に感じるのかもしれないがその言葉に厳しさはなく、ありのままを口にし自然体のまま導くかのようにしてくれているのだからそんな気持ちなど抱けず、その度に思うのは嫉妬に近い憧れに、諦観の念
強くある追いついて見せるという気概と、小さくある無理なのではという思いが混在した心の内
(……才能、か。天才というのも、ここまで来ればいっそ清々しくも思えるな)
そんなことを思い、自分らしくないと思いニーナは軽く頭を振る
レイフォンと自分の強さを比較して嘆いているニーナは知らないことだが、剄の流れを再現するという技能を除けばレイフォンの才能とは一般的に言われるような天才とは違い、種類で言えばどちらかと言えば秀才に近い天才である
サヴァリスの様に、何か一つに特化し、良く言われる
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