第5章 契約
第65話 魔眼の邪神
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喚の呪文は完了した訳では有りませんよ」
……と告げて来るソルジーヴィオ。
【湖の乙女。ヤツを、ヴェルーニーから祓う方法は有るか?】
最早、遅きに失した感の有る問い掛けを行う俺。但し、今の俺の能力では、どうしようもない状況だったが故の、ヤツとの会話だったのも事実。
何故ならば、これはアンリ・ダラミツのギアスの魔法が造り出した呪を、ソルジーヴィオが乗っ取ってヴェルーニーを操っている状態。今の俺の能力では、そのギアスの魔法の術式を一瞬の内に解析して、そこに自らの術式を上書きした上で乗っ取る、などと言う事が即座に出来るほどの器用さは持ち合わせては居ません。
それに、例えヴェルーニーからヤツを祓う方法が有ったトコロで、ソルジーヴィオ自身は、ヴェルーニーを奪われたとしても、誰か別の人間の精神を乗っ取って、最後のキーワードを呟くなり、最後の生け贄を捧げるなりすれば終わるだけですから。
この召喚の儀式に関しては。
そう。この場にヤツが顕われた段階で、既に詰んでいるのです。
「そうだ、闇の丘が何処に有るのか私は知って居る」
ゆっくりとソルジーヴィオが呟いた瞬間。背後の死体。額を撃ち抜かれ、壁と床に赤黒い液体をぶちまけて絶命したはずのアンリ・ダラミツに視線を送る俺。
何故、そのようなマネをしたのかはっきりとした原因は判らない。しかし、何故か確認しなければならない。そう思ったのだ。
其処。最初にヤツの死体が貼り付けられるようになった壁に、矢張りアンリの死体と……、ビルヌーブ提督の死体が存在していた。
しかし。二人の死体は何故か上下がさかさまの状態。頭の部分が床に。そして、脚の部分が天井に向いて固定されて居り、最初には無かった傷。咽喉と両の手首が切り裂かれていた。
但し、床は綺麗な状態で、最初の時には確かに存在していた、ヤツ……アンリ・ダラミツ自身が作り出した血だまりは、跡形もなく消えて仕舞っていたのだ。
そう。狂気の物語に伝えられて居る、ヤツに関係した死体のままの姿で、俺の前に存在していたのだ。
そして……。
どさりと言う何か大きな物が倒れる音と、そして、鉄に似た異様な臭気。更に、何か粘りのある液体が撒き散らされる異音が背後から響いた。
……いや、それだけではない。
ヒューヒューと言う笛にも似た風音が背後から。
足元から。駆け抜けて来た狭い艦内の通路から。そして、この艦に乗り込んだ甲板からも聞こえて来る。
いや、この物音に関しては、もう振り返って確認する必要など有りません。
あの物音は、俺の背後でソルジーヴィオに不必要と成ったメッセンジャーが処分されただけ。
そして、アンリ・ダラミツに精神支配されたガリア両用艦隊乗組員たちの生命が…
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