第5章 契約
第65話 魔眼の邪神
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んだ際に、このガリア両用艦隊指令室にまで案内してくれた人物。ヴェルーニー海軍士官が、右手にオートマチック式の拳銃……コルト・ガバメントらしき拳銃を構えた状態で棒立ちと成って居たのだ。
但し、彼の表情は何の感情も浮かべる事もなく。そして、死んだ魚のような瞳には、妖しい光を浮かべた状態で、何処とも知れぬ虚空を見つめるのみ……。
そして、
「お久しぶりですね」
感情の籠らない平坦な声で、そう話し掛けて来るヴェルーニー海軍士官。しかし、この口調は彼の物ではない。まして、彼が俺の正体を知って居る訳は有りません。
それに、この無駄に明るい。しかし、陰気の籠った、深淵の彼方から問い掛けて来るような気を発する相手と言えば……。
「ソルジーヴィオ」
この場面で、この茶番劇の黒幕として一番相応しい人物の登場と言う事ですか。
但し、今回は明らかにメッセンジャーのみの登場で、あの時に顕われた薄ら嗤いを浮かべた黒髪のイケメン青年では有りませんが。
「覚えていてくれましたか」
口調は非常に嬉しげな口調を、抑揚のない、感情を表す事のない声と表情で伝えて来るヴェルーニー海軍士官。
そして、
「流石に、今の身体のままで貴方の前に顕われるのは危険過ぎます。
それでも、わざわざ貴方がやって来てくれたのです。御挨拶しない訳にも行きませんからね」
まるで、本当に仲が良い相手に対して顔を見せに来たような気安さで、そう伝えて来る若き海軍士官の姿をしたソルジーヴィオ。その際にヤツが浮かべる嗤いから、仕草。そして、雰囲気まで簡単に想像させる言葉の内容で。
それにしても……。
今の身体のままで、……と、コイツ、言いましたよね。
これは、つまり、自称ソルジーヴィオと言う人物は、あの東洋人のイケメン青年風の身体以外に、別の身体も持って居ると言う事なのでしょうか。
例えば。俺に取っての奥の手。龍体と言う状態のような姿形を……。
ただ……
【ワイバーン。湖の乙女の身体を護って、安全圏まで即時撤退。
サラマンダーは、ワイバーンの護衛を頼む】
ソルジーヴィオが現れたのなら、これで事件を終わる訳が有りません。そんな危険な場所の上空にワイバーンと、湖の乙女の身体を待機させて置く訳には行きませんから。
「あぁ、そうでした」
そんな、俺の思考が次の戦闘準備に進み始めたのを知ってか、知らずか。いや、そもそも、その程度の事など気にしてもいないソルジーヴィオが、何か、とても楽しい事を思い出したかのような雰囲気で、そう話し掛けて来る。
普段通りの柔らかい男性の口調の中に、底知れぬ狂気を垣間見せながら……。
【ハルファス。周囲……この俺が居るガリア両用艦隊旗艦を中
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