第5章 契約
第65話 魔眼の邪神
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隊提督の執務室内を覗き込む俺。
そこには……。
「待って居たよ、オルレアンの人形姫の使い魔よ」
茫洋とした、死んだ魚のような瞳で宙空の何処かを見つめながら、提督専用の椅子に腰かけるビルヌーブ提督の執務机の前に立つ、左目に妖しい輝きを浮かべ、黒の僧服に身を包んだ青年がそう話し掛けて来た。
その青年が発して居るのは王の雰囲気。
そう。それは、我こそが世界を制する王だと言う自信に満ち溢れた者のみが発する事が許された声。まさに、覇王の声と言うべきで有ろうか。
そして、その一言により、明らかに世界の理が塗り替えられていた。
但し……。
「道化芝居に無理矢理付き合わされる者の身に成った事が有るかな、アラメダ司祭。……いや、アンリ・ダラミツ殿」
かなりうんざりとした口調で、目の前の世界の王気取りの道化者に話し掛ける俺。
そう。どうやらこの事態は、ショウも無い道化芝居に強制参加させられた、と言う事でしょうから。
もっとも、これはヤマ勘。完全に裏が取れている情報などではなく、アラメダと言う名前と、貴族の次男。そして、ブリミル教の司祭と言う役割を三銃士の中の登場人物に当てはめてみただけの推測ですから。
そして、
「ガリア両用艦隊の従軍司祭アラメダこと、元東薔薇騎士団所属アンリ・ダラミツ。いや、デルブレー子爵弟と問い掛けるべきでしょうか?」
……と、その黒い僧服を着込んだ、金の髪の毛を持つ青年に対して問い掛けたのでした。
――アンリ・ダラミツ。三銃士の登場人物で言うのなら、アラミス。三銃士内きっての切れ者ですが、後の鉄仮面事件の際に失脚。スペインに亡命すると言う人物。
尚、本名は小説三銃士内では明かされる事がないのは、ポルトスと同じ。ただ、ルネと何度か呼ばれた事は有ったはずですが。
但し、それは小説内の話。この目前の、まるで世界の王を気取った道化者に、其処までの能力が有るかと問われると、果てさて、如何ですかね、と答えるしか有りませんが。
何故ならば、
「王の前だ、ひれ伏せ、アンリ・ダラミツ」
俺が、ゆっくりとそう、目の前の僧服の青年に対して『命令』を下す。確かに、先ほど目の前の道化芝居の主人公が発した声に及ぶべくも有りませんが、それでも俺的には王の威厳と威圧を備えた心算の声に因る命令。
その瞬間、大地に両手を着け、ひれ伏す道化者。
そう、コイツは、俺に魔法反射が掛けられて居る事も知らずに、精神支配を可能とする魔法を仕掛けて来たと言う事。
俺の事も知らずに自らの切り札に等しい魔法を使用して来る段階で、コイツの程度が知れていると言う事ですから。
もっとも、人間のレベルで俺の魔法反射や物理反射を確実に知って居るのは才人
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