第8話 ロアキア動乱4
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この機を逃すファーレンハイトではない。
執拗な追撃によって、ロアキア軍の速度を鈍らせていた。
そして、遂にレーダーにクラフスト艦隊の艦影が映る。
ロアキア軍全体に絶望感が漂い始めたとき、オルメ艦隊の旗艦ターロス以下10000隻近くが回頭して銀河帝国軍に多量のビームとミサイルを叩きつけながら突撃を敢行し出した。
だが、この残弾を無視した猛攻はいつまでも続くわけではない。
遠からず限界が来るだろう。
そうなればオルメ艦隊はただの的《まと》と成り果てる。
「オルメ、どういうつもりだ!」
『オリアスさま、ここは俺の艦隊が全力で食い止めますんでさっさと撤退してください』
スクリーン越しにそう言ったオルメの顔は、潰れた左目に白い刀傷の痕といつもと何の変わりも無い。
ただ、その表情は妙に晴れ晴れとしていた。
オリアスは悟る、オルメはここで死ぬ気だと。
オルメの犠牲無しにこの窮地を逃れる術は無い……と。
もはや言葉は不要であった。
オリアスは敬礼し、オルメも答礼で応える。
スクリーンが切れるまで、それは続いた。
* * *
「野郎ども、ここで盛大に花火をやろうじゃないか! 目の前のあいつらを俺達の死出の道連れにしてやろうぜ!」
オリアスとの別れを済ませたオルメは先程を凌ぐ勢いで突撃を続行し、銀河帝国軍の艦列を一時的に突き崩した。
が……そこまでであった。
無理な突撃で陣形を乱しバラバラになった各部隊は反撃を開始した銀河帝国軍によって各個撃破され、旗艦ターロスも多数の艦に包囲されて最後の花火を盛大に打ち上げた。
一方、ロズボーン大将率いるロアキア軍30000隻も敵の追撃を振り切れずにいた。
敵は銀河帝国軍32000隻にブルーナ、ウィンデイルム両艦隊25000隻が加わり、計57000隻。
足が止まれば包囲殲滅されるのは確定である。
「ボムド、エルッケン、ワイルター、アルダムス。卿らは全速で撤退せよ」
『!! ロズボーン閣下は……』
「私はここで敵軍を抑える。せめて卿らだけでもオリアス殿下に合流するのだ」
そう言って、ロズボーン艦隊はボムド、エルッケン、ワイルター、アルダムスたち4個艦隊の盾になる。
彼らに出来ることは、爆沈していくロズボーン艦隊に敬礼を送ることだけであった。
* * *
戦場から離脱したオリアスと各艦隊はレンヴァレル星系第五惑星ロムウェに集結。
帝都ロアキアの陥落は時間の問題であるため、オリアスはロムウェを遷都先とすることを発表した。
艦艇は37000隻と動乱開始時の半分以下ではあったが、それでも小国では保有することすら出来ない数であり、彼らは銀河帝国軍によって帝都ロアキアが占領された後もロア
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