第三章
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「本当にずっと変わらなくていいな」
パックとパーカーのその妻を思っての言葉だ、風呂に入りながら幸せを感じていた。
大輔は風呂上りにトランクス一枚でいるとリビングでヨガをしている白いジャージの中年女性に言われた。
「あの娘がいるでしょ、パンツ一枚じゃね」
「駄目か」
「そう、ちゃんとパジャマ着てね」
「あのパジャマか」
「そう、あれね」
「ガウンなんてな」
彼は苦い顔でそうしたものはと返した。
「ちょっとな」
「駄目よ、男の人がダンディでないと」
「何処のお金持ちだよ」
「いいの、とにかくトランクス一枚じゃなくてね」
妻はヨガをしながら夫に言う。見れば身体のあちこちに肉がつきだしている感じだ。
「ちゃんとパジャマ着てね」
「ガウンも?」
「そう、来てね」
「ちょっとキザじゃないかな」
「キザでいいのよ」
妻は言う。
「むしろそれ位じゃないとね」
「駄目っていうんだな」
「そんなおっさんみたいなださいのなんて」
トランクス一枚のことである。
「絶対に駄目よ」
「それでか」
「そう、じゃあいいわね」
「わかったよ。けれどな」
「けれどって何よ」
「昔っから変わらないな。お洒落だよな」
「何歳になってもお洒落をしないと」
ヨガを続けながらの言葉だ。
「さもないと人間みすぼらしくなるわよ」
「それじゃあな」
大輔jは妻の言葉にやや苦笑いになって頷いてそうしてだった。
実際にパジャマを着てガウンを羽織る、それから妻にあらためて言った。
「先に寝てるから」
「お休み」
「ああ、また宜しくね」
妻に最後にこう言ってだった、彼はベッドに入った。その時に妻のヨガの姿を見て一人呟いた。
「本当に変わらないな、最初に会った時から」
彼の目ではそう見えることだった、そのうえで満足している笑みでこの日も休むのだった、妻のその姿を見てから。
愛らしい乙女よ 完
2013・3・2
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