十二話
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なっていたようだからそれだけ楽しみにしていたのだろう
「で、どうするのだ? 確か相手の剄の流れを見る、だったか?」
「いえ、この技は原理自体は非常に簡単なんです。とりあえず、どんな技か見せたいので全力で打って下さい」
そう言いながら、無手のままレイフォンはニーナに近づく
「何を言っている? 何の構えもなしに……」
「僕でもわかるよレイフォン。何も持ってないじゃないか」
「いえ、これで十分なんです。この技がどういった物か十分に理解するには」
「しかし……」
「問題ありません、全力で打って下さい。多分、それでも足りませんから」
「……そこまで言うならやってやろう」
無手で何の構えもない相手にそこまで言われて流石にムカついたのか、ニーナが前に出る
「では、行くぞ」
「いつでもどうぞ」
その言葉と同時に前に出て、ニーナは憤りと供に鉄鞭を振り下ろす
頭に来ていたとはいえ流石に躊躇したのか、全力ではないが普通ならば骨に罅ぐらい簡単に入るほどの力を持ってレイフォンの肩に振り下ろす
間近に、それもかなりの速さを持って迫るそれを瞬きひとつせずに自然体でレイフォンは受け入れ
「むっ!?」
初めて出会った時、鉄鞭を殴られたと同じような金属を殴ったような感触が返ってきてニーナは眉をひそめる
あらかじめその感触が予想できていたためさほど驚いていないが、微塵も揺らがずその場にとどまり続けるレイフォンにやはり驚愕の念が浮かぶ
「少し手加減しましたね? もっと本気で、全力で来てください。肩と言わずどこでも、いっそ僕を殺すぐらいのつもりで来てください。その位でないとこの技の意味がないんです」
ニーナの手加減を見抜いたのか、もっと強く打ちこめというレイフォンにニーナは改めて力を込める。そしてニーナにはもはや先ほどまで有った躊躇はない
(全力で、か。どこでもいいと言うなら……)
どうせなら、と思い、ニーナはレイフォンに一足一刀の間合いにまで近づき重心を下に沈めて鉄鞭を腰だめに構える
先ほどまでのレイフォンの練習を見ていて気になった技を使ってみたくなったのだ
ニーナにはレイフォンほどの器用さなどない。剄の流れから技の再現など出来ないし、剄を別に分けて練る様な技術もまだない。だが、シンプルなものなら別だ
レイフォンに言われていたように剄の流れを見ていた結果、極端に言えばこれはただ単に鉄鞭に剄を込めてそれを推進力に使うだけのものであった
内力系活剄も旋剄のように技にするでもなく、ただ足腰を強化するだけ。様は凄く速い突きでしかない。ならば大丈夫だろうと思ってニーナは構え剄を込め始める
それに、どうせなら一歩ぐらいレイフォンを動かしてみたいという思いもある。それならば上から叩く
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