十二話
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自分の成長を感じやすい
それ故、いつも以上に力を入れた終わらない全力の鍛錬がニーナの疲労につながった
それに、前に言われた慣れない剄息の鍛錬を続けていたせいで全力で動きづらかったこともあり、今までのレイフォンとの鍛錬は基礎と簡単な打ち合いだけであり、やっとある程度思ったように動けるようになれたが故のはしゃぎも一役買っていた
(少しはしゃぎすぎてしまったか)
そんなこと思いながら、バックからボトルを出して水分を補給するニーナを見てレイフォンは小さな包みを持って近づいてくる
「よかったら、食べます?」
「何をだ?」
広げられた袋の中を覗くと、その中にはクッキーが入っているのが見える
「いいのか?」
「はい。誰かに感想を聞きたかったので」
「そうすると、これはお前が作ったのか?」
一枚手に取り見る
丸い形状をしており、歪みもなく綺麗なものだ。こういったものを作ったことがないニーナだが、これがまずいなどとは到底思えない
それにこの、縁をかたどる独特の形状は????
「デミニフェ?」
「はい。そこのクッキーを意識して作ってみました」
「何故だ?」
「いえ、その……。グレンダンに帰った時、弟たちに新しいお菓子を作ってあげられたらと思って。デミニフェのクッキーが美味しいって聞いたので」
「……家族思いなんだな。貰うぞ」
ニーナは手に持ったクッキーを口に運び、一口齧る
さほど固くなく、しっとりさを感じさせず、粉っぽさもない程度に纏められ生地がほころび、口の中に甘さを広げる
今まで子供たちに作ってきた影響からなのか、少し甘さが強いという印象を受けるが、確かにデミニフェを意識したというのがニーナにはわかる。だが
「どうですか?」
「うん、美味しい。だが、デミニフェとは違うな」
「そうですか?」
「ああ。デミニフェのクッキーは甘いが、これよりはもう少し弱く、口に残らないようなさっぱりした甘さだ。固さももう少し固い。あと、何が入っているかは知らないが、あそこのクッキーには僅かな隠し味の様なものが入っていて口の中にその味が僅かに残るんだが、それがこれにはない」
デミニフェのクッキーが大好物であり、何度となく食べてきたニーナからしたらあくまで似ているといったもの。デミニフェには届かない
それでも美味しいのに違いはないので食べるのを止める様なことはせず、もう何枚か貰って口に運ぶ
「よかったら残りもどうぞ」
「いいのか?」
「僕はもう食べたので、別に要りません」
「それなら貰わせてもらう」
袋ごと渡されたのでニーナはそれを受け取り、ボトルの中の水分を取りながらちびちびと齧っていく
疲れた後で甘いものを取っているためか、その顔はいつもの凛々しい感じでは
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