十二話
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んだからあんま詰め込みすぎると倒れるぞ。……まあいい、それならちょっと待ってろ」
そういい、店主は立ち上がって厨房の方へと姿を消す
何だろうかと思いながらレイフォンが着替えを始め、それが終わると同時に店主が戻ってくる
「ほらよ、適当なもんでサンドイッチ作ってやった。よかったら持ってけ」
「あっ、ありがとうございます」
渡される包みを受け取り、中を見れば様々な食材が挟まれたパンが見える
適当にと言っていたが、挟まれている食材はバランスが良く、見栄えも映えるように作られているのが分かる
この店主、髭の生えた厳つい顔だが腕はいいので味は期待してもいいだろう
「若いからって無茶して体壊すなよ。菓子じゃなく、飯食って肉つけろ」
「はい。ありがとうございます。それじゃあ」
「おう。次も頼むぞ」
にこやかで厳つい笑顔に見送られ、レイフォンは次のバイト先へと向かっていった
左右から時間差で、時には同時に振るわれる鉄鞭を避け、時には払い、時には攻めて互いの武器を打ちつけ合う
既に長時間行われている立ち合いは、ぶつかり合っていた二人が武器に力を入れて互いに相手を弾き、距離が空いたところで一端中止となる
「じゃあ、少し休憩にしましょう」
「あ、ああ。そうだな」
残身を取っていた体から力を抜き、鉄鞭を待機状態に戻してニーナは地に座り、体を休める
立ち合いを続けること数十分。存分に動かした体は一時的ながら休息を訴えかけ、額には幾粒もの汗が流れて顔は赤く上気している。僅かに顔に張り付いた前髪が健康的な色気を発し、放射状に広がる長い髪がまるで一枚の絵の様な目を引き付ける不思議な魅力を醸し出すようにも思える
温まった体に張り巡らされていた力を抜き、肢体をく伸ばすようにしながら息を整えているその表情はいつもの凛々しさが少なく、やや気の抜けた柔らかい表情を浮かべ、人によってはあどけなさをも感じる様なまま全身をリラックスさせている
本来のニーナの実力を考えれば、数十分の立ち合いでここまで疲れる様な活剄の錬度ではない。だが、今していることは違う
わざとレイフォンが力を抑え、ニーナと同等か一回りほど上といった程度の力に調節して立ち合いを行ったのだ
自分と同程度であるが故に決着がつかず、その上を行こうと力を上げるごとに、立ち合いの中で成長するごとにレイフォンもニーナに合わせて力を上げていった
その結果、常にあと一歩でといった全力の立ち合いをニーナはひたすらに続けた
相手が自分とほぼ同程度であるがゆえに、常に全力を出し続ける鍛錬は自分が今何をしているのか、どこが悪いのか、どうすればいいのかといったことが感じやすく、そして少しずつ上がっていく
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