第二章
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「日本人の感覚では何か」
「戦いの舞って感じじゃないですし」
「それに何かですね」
「ラグビーの前に戦いの舞ですか」
「ラグビーは戦いだよね」
これがバランガの考えである。
「そうだよね」
「ううん、そうですか?」
「スポーツじゃないんですか?」
「スポーツはスポーツで」
「戦いじゃないんじゃ」
「いや、やっぱり戦いだよ」
バランガはいぶかしむ彼等に再び答える。今は舞の後で店の奥の畳の四人用の席に座りそこでビールをイカの姿焼きやジャガバターを食べつつ話すのだった、見ればバランガの箸の使い方はかなりいいものである。
「ラグビーもね。日本でも侍ジャパンとか言うね」
「あっ、確かに」
「こっちでも」
「そもそもスポーツは戦いにあたって身体を鍛える為のものだったし」
スパルタ由来だ、あの戦闘国家からはじまる考えなのだ。
「だからね」
「それで、ですか」
「ラグビーもですか」
「戦いですか」
「そうだよ、だから僕達もね」
試合の前に舞うというのだ。
「そうするんだよ」
「ううん、けれど戦いの舞を舞って試合に向かったら」
「そうだよな」
「後でな」
日本の学生達はバランガの話を聞いてからいぶかしむ顔になった、それでだった。
その顔でだ、お互いに話すのだった。
「遺恨が残らないか?」
「やっぱりスポーツだったら後腐れない様にしたいよな」
「それこそマウンドに旗刺す様なことしないでな」
「後はすっきりと」
「そうしたいよな」
「トンガ、いや南洋でもそうだよ」
無論オーストラリアやニュージーランドでもである。
「普通にね」
「遺恨は残らないですか」
「そうですか」
「例外はあるけれどね」
これはどの世界でもある、もっともあっていい例外とあってはならない例外があるが。
「それでもね」
「普通は、ですか」
「遺恨はないんですか」
「ないよ」
残らないというのだ。
「楽しくやってるよ」
「そうなんですか」
「楽しくですか」
「戦いの舞を踊っても」
「それでもですか」
「そこまで不思議ならね」
それならというのだ、ここで。
「一回来てみてみるかい?」
「トンガにですか」
「お国に」
「そう、来てみればわかるよ」
バランガは彼等に温和な笑顔で話す。
「そこでわかるよ」
「そうですか、それじゃあ」
「丁度留学のことも学校に言おうって思ってたし」
「それなら」
彼等は留学を考えていたがその先をトンガにすることにした、そしてだった。
実際にトンガに来た、勿論バランガも一緒である。トンガに来ると。
まずはその海と南洋独特の暑さを味わった、彼等は青く澄んだ海と空を見てそのうえでこうバランガに対して言った。
「いや、綺麗ですね」
「何か
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