第一章
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ブルース
航空自衛隊の名物部隊としてブルーインパルスがある、よりすぐりのパイロット達で構成させた航空ショーを見せる部隊だ。
日々厳しく激しい訓練を経てショーを見せている、だがパイロット達には誇りがあった。
選ばれた精鋭、戦わないがパイロットとしての技量を認められているということの証だからだ。それで彼等には誇りがあった。
それはこの久保暁羅も同じだ。外見は細面で黒髪をヘルメットに邪魔にならない程に切った鼻がやや高いごく普通の青年に過ぎない。目も穏やかで眉は横一直線だ。
だが航空自衛隊にパイロット候補生として入隊してから抜群の成績で当然パイロットになった、そして今はブルースにいるのだ。
この日はショーを見せて打ち上げで飲んでいた、その時にだ。
上官でありブルースのリーダーでもある若松三佐がこう彼に言ったのだ。
「なあ久保」
「はい、何ですか?」
「御前今度結婚するんだったな」
「一尉になった時に」
その時にだというのだ。
「そのつもりです」
「そうか、じゃあな」
「もうすぐです」
つまり一尉になるのはというのだ。
「その準備も進めています」
「結婚はいいぞ、やっぱり嫁さんがいないとな」
若松はビールで赤くなった顔で陽気に話す。、
「はじまらないからな」
「結婚してからですね」
「そうだよ、俺だってな」
「隊長もですか」
「結婚してから本当に違ってきたからな」
その人生がだというのだ。
「だから御前もな」
「結婚してですね」
「いい家庭作れよ。その際な」
「その際とは」
「嫁さんは悲しませるなよ」
このことは絶対にだというのだ。
「いいな、それは」
「浮気ですか」
「浮気に借金もな」
これもだった。
「作るなよ」
「私はギャンブルはしませんが」
自衛隊jは上官の前では敬語、一人称は私という表現を使うことになっている、それで暁羅も今そうしているのだ。
「それでもですか」
「じゃあいいけれど後はな」
「他には何が」
「事故な、それも気をつけろよ」
「交通事故ですね」
「それもあるからな」
「わかりました、車の運転には注意します」
通勤の際もその他のプライベートの時もだった、事故は常にある。
それで周りの面々も言ったのである。皆ブルースの同僚だ。
「空の事故にも気をつけないとな」
「ブルースってそこが大変だからな」
「空は油断大敵だぜ」
「陸よりもな」
「そうだな、それはな」
暁羅も同僚達に応じる。皆ビールとソーセージやフライドポテト、枝豆といったもので打ち上げを楽しんでいる。
ここでまた言ったのである。
「一瞬の油断で、だからな」
「ショーで死人が出るとか洒落になってないからな」
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