第八章
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「絶対にな」
「自信があるんですね」
「俺が見つけた連中だぜ。当たり前だろ」
社長は笑ってこうも言う。
「それでだよ」
「それで、ですか」
「俺の人を見る目は最高だからな」
「それはジョン王のレベルですか?」
「あの王様人を見る目そんなに悪かったか?」
失地王としてその名を残している、今でもイギリス王家ではジョンという名前を決して使わない程の評判の持ち主だ。
「そこまで」
「まあ、悪代官一杯使ってましたから」
「ロビンフッドか」
「はい、そうしてましたよね」
「そういえばそうだったな」
「まあ実際はどうだったかわかりませんけれど」
近年は意外と悪い王ではなかったのではないかという説も出ている。
「とにかくロビンフッドの世界ではそうですよね」
「安心しろ、俺の目は処女王の目だ」
エリザベス一世だ、イギリスで名君と言えば彼女だ。
「間違いはない」
「何か若くて男前なだけの奴登用して失敗してませんでしたか?」
「エセックス伯か」
「はい、あの人を」
「人は誰でも間違いがあるからな」
「じゃあ駄目じゃないですか」
社員は社長に困った顔で返した。
「それじゃあ」
「そうなるか」
「いや、何か不安になってきましたけれど」
「だが大丈夫だ」
「そう言い切れる根拠は何ですか?」
「あいつ等は何をしている」
問いは急に核心的なものになった。
「一体何をしている」
「何って。音楽ですよ」
社員は何を今更といった顔で社長に返した。
「バンドですよ」
「あいつ等は確かに殆どのことでばらばらだよ」
生まれた国だけではない、楽器も趣味の食べるものの嗜好もだ。アルバイトの先まで全部違っていた程だ。
「それでも音楽についてはな」
「一つですか」
「ああ、音楽をやってるだろ」
「それが一緒だからですか」
「大丈夫だ、あいつ等はな」
「これからもですか」
「音楽で一つだからな、衝突し合いながらでもな」
「だったらいいですけれどね」
「見ていろ、あいつ等は凄いバンドになる」
社長はこのことは確信して言った。
「絶対にな」
「その言葉信じていいんですね」
「俺を信じないと誰を信じるんだ」
社長は確かな笑みで社員に問うた。
「俺だろ」
「社長だからですか」
「あいつ等を見出した人間だからな」
「さっきジョン王とかエリザベス一世とか言ってましたよね」
「それはそれ、これはこれだろ」
社長はこのことは強引になしにした、この強引さも彼の長所だろうか、若しかすると短所なのかも知れないが。
「俺が見出したんだぞ」
「だからですか」
「わかったな、じゃああいつ等を見守れ」
「わかったって言えばいいんですね」
「それ以外の言葉を出す必要はないからな」
「わかり
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