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たった一つのなくしもの
第七章
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 満ち足りていてもだというのだ。
「自分が喜ばないとな」
「幸せじゃないんだな」
「そういうものなんだな」
「ああ、俺は人を幸せにしていないんだな」
 米粒を食べつつ言う。
「そうなんだな、幸運を与えていても」
 喜びを貰うからだ、ゴキブリはそのことに虚しさを感じていた、だが。
「けれど、また契約するか。生きていればいいて奴もいるしな」
「それがあんただからな」
「そうするしかないからな」
「ああ、俺も生きていたいからな」
 出来るだけ長くだ、契約から喜びを貰って。
「そうしていくよ」
 こう虚しい声で言うのだった、彼もまた喜びを感じず次の契約相手を探すのだった。


たった一つのなくしもの   完


                             2013・5・24
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