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たった一つのなくしもの
第二章
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 彼は漠然とした気持ちで家賃を払いそれから居酒屋に向かった、そこで酒を飲んでもだった。
「美味いけれどな」
「それでもだろ」
 服のポケットの中から声がしてきた、ゴキブリの声だ。
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