アインクラッド 前編
Turning battle
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と考えたからだ。
「トウマ、このまま行くぞ」
「おう!」
背後から響く威勢のいい答えを聞きながら、三度襲い掛かる梟に向かってマサキは駆け出した。今までと同じく敏捷性を生かした突進攻撃を行おうと高空で態勢を整える梟に向かい、《ライズシュート》で腰元の投剣を投げつける。
だが、ここは攻撃態勢が整っていなかったことが相手にとって幸いした。梟は整いつつあった攻撃態勢をキャンセルすると、見事な反応で投げられた投剣の下を潜り、かわすことに成功する。
しかし、それこそがマサキの狙いだった。かわすことによって高度を下げ、かつ行おうとしていた突進攻撃に必要な加速距離を確保するために壁際によっていた梟に向かって、マサキはスキルスロットにセットしたばかりの《軽業》スキルと壁を利用した三角跳びで迫った。壁を蹴るときにつけておいた体の捻りを利用し、ライトエフェクトを纏った回し蹴りに更なる威力を乗せて闇色の体躯に叩きつける。
「……セッ!!」
体術スキル単発技《旋月》を浴びた梟が、この戦いで初めて動きを止めた。その好機をマサキが逃すはずもなく、旋月の短い技後硬直が解けるや否や、曲刀用ソードスキル《ファラント・フルムーン》を発動させた。黄色く光る四本の剣閃が闇色の体を上書きし、切り裂いていく。
「……………………」
身体を目一杯使っての突きから派生した、手首を翻して跳ね上げる四段目が梟のHPを更に削った瞬間、梟の顔面に貼りついた能面のような表情が微かに引きつった。HPバーの上に表示されたアイコンが、《ファラント・フルムーン》が持つ追加効果であるスタン状態に陥ったことを示している。
マサキが下を見ると、既にトウマが持つ両手剣はライトエフェクトに包まれていた。言葉を介さずともこちらの意図が伝わっていることに片頬のみの笑みを浮かべ、数瞬遅れてやってきた不快感に口元を歪める。そして、その不快感を身体の外へと追いやるべく、マサキは右手に握った曲刀に、更に強く力を込めたのだった。
「ホォォォォォォ……ホォォォォォォ……」
「マサキ……何かマズイのが来るんじゃ……」
闇色の羽毛に覆われた体躯の上に光るHPの残量が半分を切ったのと同時に、これまでどんな攻撃を受けようと無言だった梟が低く呻いた。その不気味さに怖気づいたのか、隣で大剣を正中線で構えるトウマの顔が青ざめる。
「心当たりがあるのか?」
両手剣の切っ先が手の震えで微妙に揺れる程、梟に対し恐怖心を抱いているトウマに、マサキは尋ねた。
見た感じ、現在進行形の梟の行動は、体力の減少による攻撃パターンの変更を示しているものと思われる。だとしたら、変更後の攻撃パターンについての情報は、どんな些細なものであれ頭に入れておきたい。
しかし、申し訳なさ
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