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カウボーイ
第四章
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「作品の出来自体はな」
「まあ期待出来るな」
「奇をてらった感じだけれどな」
「まあそれでもな」
 皆完成前から色々言っていた、そうして。
 正直その出来よりもその配役に話題が集中していた、だが。
 ロフティングは撮影中に主役の二人にもコルチェンコにも自信に満ちた笑みでこう言っていた、それも常にである。
「いい映画になるぞこれは」
「ハリウッドの歴史に残る位のだね」
「ああ、なるよ」
 こう言うのである。
「絶対にね」
「そうですね、俺も最初はどうかと思いましたけれど」
「私もよ」
 オッドマンにパーカーもこう応える。
「いや、こうしてやっていきますと」
「違ってきましたね」
「そうだろ、そもそも作品としての出来も考えているんだ」
 尚ロフティングは最初から話題作りは考えていない。
「それを追求して作っているからね」
「まあ出来を追求してもどうかという作品もあるけれど」
 この辺りは少し間違えるとそうなってしまう。
「けれどこの映画は」
「そうだよ、僕も考えてるし」
「脚本家は僕でね」
「配役も考えたんだ」
 だからオッドマンにパーカーを選んだというのだ。
「アフリカ系ということもあるけれどね」
「俺も西部劇は出たかったよ」
 そのオッドマンも笑って応える。
「実際にさ。けれどな」
「それでもアフリカ系だからだよな」
「出られないって諦めてたんだよ」
「ハリウッドは真実を伝えもするが誤りも伝えるんだよ」
 西部劇での騎兵隊やガンマンの存在は事実だ、だがだというのだ。
「アフリカ系も多かった、そういうことだよ」
「この映画他にも色々と史実に忠実よね」
 今度はパーカーが言う。
「そうよね」
「その通りだよ、細かいところまでな」
「そうしてなのね」
「そう、それじゃあこのまま撮影を続けて」
「そのうえで、よね」
 パーカーはロフティングに真顔で応える。
「完成させるのね」
「どんな素晴らしい映画も撮影を終わらせないと意味がないよ」
 作品として完成させなければというのだ。
「まさか最後に未完とするのかい?」
「日本の漫画ではそういうのがあったらしいけれどね」
 コルチェンコが笑って返す。
「そういうのもね」
「けれど普通はないね」
「普通はね」
 日本のその漫画が特別だというのだ。
「そういうものだからね」
「じゃあまずは完成させて」
「いざ実際の評価を聞こう」
 肝心の収益もそれについてくる、ロフティングはその自信に満ちた笑みで言っていた。撮影は順調に進んでいた。
 撮影は終了しそしてだった、上映されると。
 これまで話題先行だったが皆実際に作品を見てこう言った。
「いや、絵になってたな」
「そうだな、褐色の肌のカウボーイってよかったな」

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