第三章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
その黒い目をびっくりさせながら言うのだった。
「本当にいいんですよね、俺がカウボーイで」
「私が牧場の跡取り娘って」
「十九世紀のテキサスが舞台の牧場でって」
「アフリカ系で」
「だから言ったね、アフリカ系だからだよ」
ロフティングは二人にもそれ故だと話す。
「君達にオファーをかけたんだよ」
「カウボーイにアフリカ系が多かったって」
「嘘みたいですね」
「嘘じゃないよ、事実は隠せないよ」
こう言うのである。
「実際だからだよ」
「白人ばかりって思ってましたけれど」
オッドマンも同じ考えだった。カウボーイやガンマンといえばだ。
「白人の世界じゃなかったんですね」
「白人はいたよ」
実際アメリカは今でも白人が主流だ。多民族国家であることは事実だがやはり人種的な主流は欧州からの移住者にルーツを持つ人々なのだ。
「主流だったよ、それでもね」
「三分の一はですか」
「アフリカ系で」
「ヒスパニックも多くてね」
しかもアラモ等で敵ではなくというのだ。
「そうした世界だったんだよ」
「想像もしなかったですね」
パーカーは目をしばたかせながらロフティングに返した。
「ちょっと、ただ面白そうですね」
「ああ、俺もそう思うよ」
オッドマンは自分おの隣にいるパーカーの言葉に応えた。
「意外だしな」
「意外だけれど事実だよ」
「それがびっくりすることですけれど」
「けれど」
「オファー通りでいいね」
「はい、ギャラのことも」
「それで」
二人はこのことも快諾した、かくして。
主演の二人も驚きながらも映画作成に加わった、無論他の面々もだ。
皆戸惑いながらも撮影に入る、その宣伝を見て。
多くの者が驚いた、そしてこう言うのだ。
「アフリカ系のカウボーイと牧場の娘の恋か」
「西部劇でアフリカ系なあ」
「どんな奇をてらったんだ」
「アイディアはいいけれどな」
これは認める、だがだった。
「けれどな」
「成功するかね」
「西部劇はやっぱり白人だろ」
「白人が主役だろ」
殆どの面々がこう考えていた。それは何故かというと。
「これまでどの映画でも白人だったからな」
「ああ、西部劇はな」
他のジャンルならともかくだ。
「そのカウボーイにしても騎兵隊にしてもな」
「保安官でもガンマンでもな」
「ヒロインだってそうだしな」
「その牧場の娘とかもな」
設定としてはある、だがなのだ。
「やっぱり白人だろ」
「白人が普通だろ」
「というか西部にアフリカ系いたか?」
「南部じゃないのか?」
アンクルトムの小屋のイメージが強かった。若しくはトムソーヤの冒険に出て来る青年だろうか。とにかくアフリカ系と西部はつながらなかった。
「今のカルフォルニアとかテキサ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ