第一物語・後半-日来独立編-
第三十六章 風断ち行く者《1》
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べらと、よく喋るものだな」
「自分、近代的な忍者で御座るからな。今の時代、コミュニケーション能力は必要で御座るよ?」
「時間の無駄だな。敵はたった一人だけだ、ここを抜ければ結界に辿り着くのも時間の問題だ。――行くぞ」
これを聞き、背後にいた皆は動き出そうと一歩を踏み出す。
先行するようにトオキダニは一番先に走り出し、宇天の伝達者に体当たりするように向かう。
相手の行動を見て、対する介蔵は両手を広げ、それを天へと上げた。
この動きによって、彼の横一直線に風が天へと吹き出した。
風による壁を作り出し、彼らを先へは行かせないつもりだ。
しかし、トオキダニはそれに構わず体当たりを食らわすために走る。
重量級の身体であるため、ぶつかった時の衝撃は相当なものになる。
進み、残りの距離を一気に縮める。
その結果、ぶつかった。
だが宇天の伝達者にではない。彼の横にある、風の壁と同じもので防がれた。
「不思議なものだな。風により作られているというのに、まるで頑丈な壁に体当たりした気分だ」
「流魔の流れによって生まれた風に御座るから、流魔操作同様、硬化出来るので御座るよ」
一直線の風の壁を同じで、仲間が殴り、蹴るがそれも壁によって防がれる。
強度もなかなかのもので、あの獣人族であるルヴォルフの打撃を受けてもびくともしない。
「ふむ、つまりオレ達はここで手詰まりということか」
風の壁はかなりの距離あり、例え移動したとしても宇天の伝達者がいたのでは現状は変わらない。
また風の壁を作られ、それでお仕舞いだ。
だから、自分達はここで手詰まりだ。
数歩後退し、高さを確かめる。
学勢院の校舎よりも高いだろう。
飛行系の機竜であれば越えられただろうが、あいにく自分は歩行系の機竜だ。
高濃度流魔のなかや超重力下などには強いが、飛行関係は対象外だ。
考えるのも面倒だ。座って時がどう運ぶか待つことにしよう。
なので地面に尻を付けようとしたところ、後ろから誰かに押され再び立つこととなった。
「誰だ、座るのを邪魔したのは」
言う頃には、背を押した者が誰なのか視界に映った。
ポニーテールの、腰に忍刀を携える、忍者でありながら侍を目指す女子学勢。
登吊・美鷺だ。
彼女の視線は宇天の伝達者の方を向いたまま、座ろうとしたトオキダニの身体を立たせるために右手を背に付け、押していた。
だが、トオキダニは疑問に思った。
片手でオレを起こしたのか?
背後から押されたために確かかは分からないが、そう感覚を得た。
片手を背に付け、軽く押された感覚があった。
そんなトオキダニの疑問を無視し、美鷺は立たせたトオキダニを背に、流れを止めずに宇天の伝達者である介蔵に一打を喰らわせる。
やはりと言
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