第一物語・後半-日来独立編-
第三十六章 風断ち行く者《1》
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敵のいたあの位置では加速系術を使っても、相当の手練れでなければ回避は無理だ。
それなのに敵は誰一人として、何処にも見当たらない。
腕を顔の前にかざし、暴風を遮りながらもう一度確認する。
「敵全て見当たらないだと? これまでの敵は幻とでも言うのか」
「否、幻では御座らんよ」
「誰だ――!」
暴風が爆発し、風が消えると同時に聞こえた声。
それは自身の正面からであり、距離はどれくらいかは定かではないが離れている。
目を細め、睨むように遠くを見れば。
そこにいたのは、
「お前は……! 宇天学勢院覇王会伝達者、葉隠・介、介……す……誰だキサマ!」
「後もう一歩! もう一歩で御座ったのに! 諦めず最後まで言ってほしいで御座るな! 葉隠・介蔵で御座るよ! 前の話し合いの時にいたで御座ろう!?」
「知らんな。よく忍んでいたな、誉めてやる」
「あー、いやあ、そう誉められると照れるで御座るなあ……って! 今忍んでも意味無いで御座るよ! 名前覚えられてないなんて寂しいで御座る……」
遠くにいる忍者は竜口砲を喰らったのにも関わらず、全焼まではいかなかった家の屋根にいた。
忍者が一人で騒いでいるので、皆は冷めた視線を送る。
その視線を感じ、介蔵は咳払いをしてしっかりとする。
「自分の味方は皆、遠くに避難させたで御座るよ。竜口砲を受けてはこちらは損するだけで御座るからな」
「一体どうやって移動させたのだ」
「これで御座るよ」
言う介蔵の周りだけに、止んでいた風が吹いている。
その風は徐々に強くなり、先程の暴風となった。
ここまでを見せ、風を止めて見せた。
右手を振り払うことで。
「風によって運んだということか。竜口砲は視界を狭めるからな、それに紛れて行ったというか。それにしても、一瞬にしてあんな大勢の者達を移動させたとは、なかなかの実力だな。さすがは覇王会だ」
「うむ、これでも覇王会で御座る」
はっはっはっ! と高笑いする介蔵が載っていた家が、何を狙ったのか彼の重みに耐えきれず崩れた。
あああ――、と言いながら落ちる忍者。
格好悪い、と誰もが思った。
少し間を置いて瓦礫を掻き分け、埋もれた介蔵は現れる。
「じ、自分、何か悪いことでもしたで御座ろうか……」
忍者装束に付いた埃を叩き払い、崩れた家から離れる。
何故自分だけが、と疑問を持つ。
きっと重なって起こった不幸だと、そう思うことにした。
歩き、正面に見える機竜へと近付く。
すると、その機竜から疑問を投げ付けられた。
「辺りにはお前の仲間はいないようだが、何を企んでいる」
「双方、邪魔な者は少ない方がいいで御座ろう。それに自分、先程見せたように風を使うで御座るから、味方が大勢いると使えないので御座るよ」
「忍者がべら
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