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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第三十六章 風断ち行く者《1》
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い光に包まれ、爆音と言う衝撃が発生した。
 竜口砲は逃げる者達を背から襲い、身に付けていた服を焼く。
 逃げ切れなかった、と自覚する頃には全身に竜口砲を喰らっていた。
 竜口砲を放つトオキダニの背後も、放つ際に発生した高温の爆風を受けていた。
 放熱器官からは勢いよく熱が放射され、彼の背後にあったものは吹き飛ばされる。
 唯一吹き飛ばされずに済んだのは、防御体勢を取っていた日来の組だけだった。
 放たれた竜口砲は口径以上の大きさで、トオキダニは竜口砲により押される感覚を得ながらも、左、右へと竜口砲を動かし多くの敵を負傷させていく。
 彼の竜口砲が威力を落とし、閉じるように消えた後には建物は黒に染まり、草は灰となっていた。
 あまりの高温であったために周囲には煙が漂い、視界を狭めている。
 放熱器官から一度、一気に熱を抜き、開いていた鎧甲を閉じた。
 身体から熱が取り除かれた感覚を得つつ、トオキダニは癖により頭を掻く。
「ふむ、久し振りだったからか加減が上手くいかなかったようだな。“久し振り”、だったからな」
「おい待てコラ。何、久し振りの部分、強調してるカ! こっち、防げたけど熱くてヤバかったヨ!」
「背後に立っているのだから同然だろうな。蒸し焼きにならなくてよかったな」
「他人事ウザいネ」
「大量の敵を負傷させたのだからいいだろう」
 振り向き、竜口砲による放熱によってひび割れた防御壁に守られた仲間達を見る。
 皆も空子同様熱かっただろうが、文句一つ言わない。
 全く、空子は彼らを見習ってほしいものだな。
 本当にそう思う。
 後で古典文法の本を教室の机に毎日置いて嫌がらせをしてやろうと、そう誓った。
 役目を果たしたため、組へと合流しようと歩き出す。
 身体が重たく感じる。少しばかし休憩が必要だろう。
 思いながら加わろうとした時、弱い風が吹いた。
 その風は煙を払い、視界を広げるために役立った。
 風は冷たく、まだ熱を持つ自分にとって心地好いものだった。
 だが、その風は突如として暴風と変わる。
 暴風は砂を巻き起こし、焼けた家々が崩れた。
 直感で感じたが、この暴風は自然的に起こったものではない。
 急いで振り向くトオキダニの視線の先、映った光景は――
「負傷者……零!?」
 確かに竜口砲は敵に当たった筈だが、肝心の負傷者がいない。と言うよりも、敵の姿自体何処にも無い。
 何故? と疑問を持った。
 この光景は仲間達にも意外だったようで、背後が騒がしくなった。
「どういうことだ、これは」
「知らん、オレに聞くな」
 ルヴォルフの問いを乱暴に返し、周囲を確かめる。
 だが、やはり敵の姿が見えない。
 敵がいた距離は確かに竜口砲の射程内だ。久し振りであっても、それは分かる。
 
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