第一物語・後半-日来独立編-
第三十六章 風断ち行く者《1》
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幾ら人族が集ったところでオレの敵ではないな」
機竜系破族の伊豆場・トオキダニだ。
瞳に映る敵を見て、余裕な様子で言葉を吐く。
遠距離から黄森の社交員による射撃で、彼の肌に銃弾が当たるが、金属音を響かせて弾かれるだけだった。
機竜特有の鉄以上の硬度を誇る鎧甲の肌には傷は付かず、ただ当たった箇所に黒い汚れが残っているのみである。
「そんなものが効くと思っているのか? 全く、考えていることが分からんな」
敵を見渡し、なおを続く銃弾を浴びる。
同時に背後にいる仲間から数歩離れ、距離が十分に取れたところで膝を曲げ、中腰になり背を低くした。
その姿勢に何かを感じとり、相手は動く足の速度を落とした。
「反応はいいようだが、キサマらのいる範囲はオレの竜口砲|《ドラゴンブレス》の射程内だぞ」
そう言いうトオキダニの身体中から陽炎が立ち上り、彼の鎧甲が勢いよく開いた。
逆立つように立った鎧甲が覆っていたものは、体温を調節する放熱器官だ。
ラジエーターのようなその器官からは、陽炎が漏れるように揺らめいていた。
準備を行っているなかで、トオキダニは背後にいる仲間に告げる。
「防御体勢を取っておけ。久し振りに撃つからな、力の調節が上手く行かない可能性がある」
「あのう、それってこっちにも被害が及ぶってことですかねえ?」
新たに防御壁を発動するロロアが、自身を心配するような言葉を掛けてきた。
振り向かないまま、そうだ、と言うと嫌な顔をされた気がするが気のせいだろう。
自身を支える骨と骨を動かし、口径を広げ、竜口砲による首のダメージを緩和するための組み替えを行う。
骨が外れる音と、組合わさる音とが鳴り、それらが終わる頃には仲間達の防御体勢は整っていた。
ロロアによる防御壁の多重発動により、竜口砲からの余波を免れるための壁を作った。
更に外側には防御盾を発動出来る者達を置き、まさかの事態に備える。
「多分、大丈夫だと思うのでどうぞ!」
言われたので、早速行おうことにする。
竜口砲を放つ行為は、慣れなければかなり辛い。
熱を発生させる器官をフル稼働させ、それにより発生した熱と自身の内部流魔を口元へと集中させ、強烈な反応を起こさせてそれを一気に放つ。
陽炎が起きるのも、体温が上昇しているためだ。
一段階、地に深く足を食い込ませ身体を固定する。
久し振りに撃つため、バランスを崩して思わぬ方向へぶちかますかもしれないからだ。
何を言おうと、ものは試しだ。
今頃、危機を感じ取り逃げる敵に向かって、骨の組み替えで広がった口を彼らに向ける。
それを見た彼方は死に物狂いで逃げ出すが、それに至るまで遅かった。
「――――!!」
トオキダニによる、竜口砲が放たれた。
周囲は竜口砲により眩
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