暁 〜小説投稿サイト〜
神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第三十六章 風断ち行く者《1》
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
だ。
 一方の入直は隊長機と正面から交差し、腰装着型加速機|《ウエストスラスター》を噴かして二機の騎神は空高く飛翔する。
 新たに三つの戦いが、この瞬間に行われた。



 結界の破壊に進む三年一組を中心とした組は、乱戦状態となった戦場のなかを行く。
 しかし、進むためには立ち塞がる敵を薙ぎ倒す必要がある。
 行ける者は前へ、そうでない者は後方で支援を。
 物量で日来は黄森と辰ノ大花に劣っているものの、彼らと引けを取らない勢いで攻め続ける。
「クソッ。なんであいつらに俺達が押されてんだよ、ありえねえ」
 彼方の学勢か社交員か、誰かが言った。
 実力を比べれば自分達の方が勝っているのに、何故ここまで押され、こちらは押し返せないのか。
 彼らには分からない。
 その答えを、今の彼らでは見つけ出せない。
 何故ならば日来の力は個々の力ではなく、総合的な力なのだから。
 個々の力では確かに負けるだろう。しかし、全体の力ではどうだろうか。
 物量だけで、全てが決まる訳ではない。
 力だけで、全てにおいて勝てる訳ではない。
 武器だけで、全ての戦いを制する訳ではない。
 この戦いは個々の戦いではなく、全体の戦いなのだ。
 黄森と辰ノ大花は、軍事から見れば確かに強力だ。だが、彼らの関係性はどうだろう。
 大して仲の良いものではなく、地元の者が殺される辰ノ大花にとって殺す側の黄森と手を組むなど本意ではないだろう。
 そんな彼らに連携と言うものは無く、ただ個々が個々を攻めているに他ならない。
 それとは違い日来は個々が組となり、その組が個々を攻めている。
 幾ら相手の物量が上であっても、目の前で戦う相手には限りがある。それが長く続くか、続かないかの違いだけである。
 だから日来は乱戦中であっても組を作ることで、組と言う一つの陣形が構成され、三百六度の戦闘を可能にしている。
 更に組の外側に防御壁を展開していれば、攻守共々バランスの取れた陣形となる。
 これが一発本番で出来るのは、お節介好きが多い日来だからだろう。
 誰かのために何かをすることは、その“誰か”のために頑張ることが出来るため、何時もより力が溢れ出るのだ。
 気合いの入れようで、力量が変わることと同じことだ。
 彼らは今、馬鹿な長のために頑張っている。
 その意志は容易く壊せるものでもなく、威圧に似たものを彼方は感じていた。
 円形の組は中央が空いたドーナツ型をしており、負傷者らは中央で傷の手当てを行う。
 そうすると負傷者と手当てを行う人員は攻撃が出来無い状態になるため、その時を狙って彼方は攻めて来る。
 だが、それも日来勢からしてみれば想定内だ。
 北側正面。攻めて来る相手と向かい合うように、組のなかから一人の機竜が前へ出た。
「ふん、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ