第五十一話
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スクリフに対して俺のカーソルを目立たなくさせてくれた、この漆黒のコートのおかげ、か……。
――ありがとう、アリシャ。
コーバッツたちと一緒で、もう『ここ』にはいない親友に対して礼を言っている間に、ヒースクリフがまたも小さく笑いだした。
「ショウキ君。君はプレイヤーの中でも、とびきり異端な存在だと解っていたが……やはり君は、私を楽しませてくれる」
異端なのは当然だ……俺はもともとゲーマーですらなく、茅場にこの世界に引きずり込まれたのだから――と反論するより早く、ヒースクリフは懐からとある結晶系アイテムを取りだした。
「あれは、《回廊結晶》……?」
そう、ヒースクリフが懐からだして手に持っているのは、このボス部屋に来る時のものと同種の、あらかじめ指定してある場所へとワープする空間を作るアイテム……《回廊結晶》だ。
「逃げる気かよ、ヒースクリフ」
「それは君たち次第だな。ここで君たち二人と二対一で戦っても良いが、それだと勝ってしまった時の、私のこれからの楽しみが半減してしまうのでね。……コリドー、オープン」
ヒースクリフの宣言と共に隣に《転移門》と同じ空間が発生し、ヒースクリフがその空間に入っていく途中でこちらを振り向いた。
「私と戦い、この世界を終わらせたいのならば追ってきたまえ。ただし、先着一名となっているがな……ああそれと、君たちの《麻痺》は後数分で解けるが、この《回廊結晶》の空間も、それまでしか保たないようになっている。では、また会おう」
ヒースクリフは最後まで忠告めいた口調で話しながら、空間の『向こう』へ消えていき、キリトは即座に追おうとした。
だがキリトの足元にクナイが刺さり、その場に立ち止まざるを得なくなった。
キリトを止めるためにクナイを投げたのも俺で、《回廊結晶》の空間に先にたどり着いたのも俺だった……俺の方が距離が近かったのだから当たり前だが。
「悪いが俺が行かせてもらうぞ、キリト」
正直言って、追ってもヒースクリフに勝てる可能性は少ない……しかしキリトは、第一層で俺を助けてくれたように、他人を助けることが出来る人間……そのユニークスキルも併せ、いわば『勇者』と言える存在だ。
……真似事しか出来ない俺と違って、ここから先の攻略に必要なキリトを、ここで行かせるわけにはいかない。
「何言ってる、俺の方が……」
「お前、俺にもヒースクリフにも負けてるじゃないか」
もちろん、ヒースクリフ戦はシステムのオーバーアシストであったらしいし、俺との勝負は俺が有利な条件で戦ったからと、実際の実力はキリトの方が俺より上だ。
……だからこそ、行かせるわけにはいかないのだが。
「……それでも、キリト。俺の命を救ってくれてありがと
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