第五十一話
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ぜ、最強のプレイヤーがいきなりラスボスとはな……」
「そうかね? なかなか良く出来たシナリオだと自負しているのだが」
まるで世間話にも興ずるような口調のヒースクリフの背後から、《血盟騎士団》の幹部でもあるプレイヤーが、《忍び歩き》スキルで近づきながら戦斧を振り上げていた。
「俺たちの忠誠をっ……よくもっ――!」
だがそれに反応していたヒースクリフは、あっさりと十字盾で戦斧を弾き飛ばし、その隙に左手で呼びだしたシステムメニューを操作すると同時。
全プレイヤーがつい先程と同様に、動けなくなってへたり込んでしまう……これは《麻痺》の状態異常だ。
「ここで全員殺して隠蔽する気か……?」
どうやら一人だけ《麻痺》の効果の対象外となったキリトが、背後にいるアスナを守るように剣を構えると、それに対抗してかヒースクリフも《神聖剣》を抜きはなった。
「まさか、そんなことはしないさ。こうなった以上、私は第百層《紅玉宮》で君たちの到着を待つことにしよう」
コツ、コツとその真紅の鎧から重厚な足音を響かせながら、圧倒的な存在感を示しながらも静かに、一歩一歩キリトに向かって歩みを進めていく。
「……だが、キリト君。私の正体を見破った報奨として、君には一つチャンスを与えよう」
ヒースクリフはそこで立ち止まると《神聖剣》を床に突き立て、キリトに更なる言葉を紡ぎだそうとする。
――今だっ……!
「抜刀術《十六夜》!」
突如として立ち上がった俺が放った高速の抜刀術《十六夜》が、キリトの方を見ていたヒースクリフに必殺の一撃を叩き込まんと、斜め後ろから飛来していく。
「……む!?」
しかしアインクラッド最強の剣士の名は伊達ではなく、すんでのところでヒースクリフに防がれてしまう。
「ショウキお前、動けるのか!?」
ヒースクリフから少々距離をとるために、お互いの剣が届かない程度に後退すると、油断なくヒースクリフを見据えながらキリトの問いに応じた。
「……ああ、お前のおかげでな」
先程までのボスモンスター《The Skullreaper》戦において、俺はスカルリーパーから最高レベルの《麻痺毒》を喰らってしまったが、キリトが投擲スキル《シングルシュート》で投げてくれた解毒ポーションのおかげで事なきを得た。
そしてヒースクリフが使って全員を動けなくさせたのも、ゲームマスターにのみ使える規格外の魔法ではなく――ここにいる全員をノーコストで麻痺させるのはともかく――俺もキリトと同じように動けなくなることはなかった。
幸いだったのは、一部を除いて『平等』ということにこだわり過ぎるこのアインクラッドという環境。
そして俺には使えない《隠蔽》スキルを付加させて、ヒー
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