第69話
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れてしまった麻生に近づいて謝ろうとする。
「恭介、悪いな。
水をかけてしま・・・いってえええええぇぇぇぇぇ!!!」
上条が謝罪を言う前に麻生はハリセンで思いっきり上条の頭を叩く。
「これでチャラだ。」
さすがにさっきの事は自分が悪いのか何も言い返せない。
上条も同じように体育館の壁に寄りかかろうとしたら、どこからか男女の言い争う声が聞こえてきた。
ちょうど体育館の陰に隠れる形で、誰かが話し合っていた。
「そんな事は・・・絶対に・・・ですよっ!」
「馬鹿馬鹿しい・・・に決まって・・・ですか。」
上条は体育館の壁にぴったりとくっつき、端から首だけ出して様子を窺う。
麻生はその場を動かなかったがしっかりと耳で聞いているみたいだ。
日当たりの悪い体育館裏手にいたのは、上条のクラスの担任の月詠小萌だった。
服装はいつもの服と違い、チアガールのような姿になっていた。
彼女と向かい合っているのは、知らない男性だった。
他校の先生だろうか。
大覇星祭の期間中は教員も市販のジャージに着替えたりするものだが、なぜこの暑い中でも、ピッチリとスーツを着込んでいる。
小萌先生と男の先生は言い争っていた。
というより、嘲る男の先生に、小萌先生が食い下がっているような構図だ。
「だから!ウチの設備や授業内容に不備があるのは認めるです!
でもそれは私達のせいであって、生徒さん達には何の非もないのですよーっ!」
「設備の不足はお宅の生徒の質が低いせいでしょう?
結果を残せば統括理事会から追加資金が下りるはずなのですから。
くっくっ。
もっとも、落ちこぼればかりを輩出する学校では申請も通らないでしょうが。
ああ、聞きましたよ先生。
あなたの所は一学期の期末能力測定もひどかったそうじゃないですか。
何やらあの常盤台に一時編入した生徒がいるみたいですね。
さぞ、恥を晒したのでしょうな。」
その言葉が聞こえたのか、ピクリ、と麻生が反応する。
「せ、生徒さんには成功も失敗もないのですーっ!
あるのはそれぞれの個性だけなのですよ!
みんなは一生懸命頑張っているっていうのに!
それを・・・それを、自分達の都合で切り捨てるなんてーっ!!」
「それが己の力量不足を隠す言い訳ですか。
はっはっはっ。
なかなか夢のある意見ですが、私は現実でそれを打ち消してみせましょうかね?
私の担当育成したエリートクラスで、お宅の落ちこぼれ達を完膚なきまでに撃破して差し上げますよ。
うん、ここで行う競技は「棒倒し」でしたか。
いや、くれぐれも怪我人が出ないように、準備運動は入念に行っておく事を、対戦校の代表としてご忠告させていただきますよ?」
「なっ・・・・」
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