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オリ主達の禁則事項
英雄の暗躍
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なかったのだ。
 その目論見の粗さが自分の完全敗北と言う形を取っている

「う…あ…」

 右手は砕かれ、左手は動くものの、両手でさえ軽くあしらわれたのだ。
 すでに反骨精神は折れている。
 両の足を使っての逃亡も無駄だ。
 目の前にいる秋晴の足が自分より遅いなんてとても思えない。

「…終わりだな?」
「こ、この位、使徒の再生能力と自己進化で…」
「確かに耐性を持たれると面倒…だが…」

 秋晴は右手の人差し指を立て、天をさす。
 
「え?」

 意味の分からない、あえて言うなら勘違いした示威行為に見燃える行動に、何故か中は戦慄を覚えた。
 正体不明の寒気に、中の体が本人の意思と関係なく震え出す。
 おそらく使徒としての生存本能が秋晴がこれからしようとしている何かの脅威を感じ取っているのだ。

「な、何だそれ?」
「お前のように無駄に頑丈だったり、無駄に不死身だったりする奴の為の“技”だよ」
「げ!!」

 秋晴の言葉を信じるならつまり、本人が言う所の技と言う奴は使徒の防御も耐久力も無視する事が出来るという事だ。

「そ、そんな事が出来るなんて聞いてねえぞ!!」
「何で神の中でも大母神くらいしか知らない事をわざわざ宣言してやなきゃならんのだ?」
「神ですら知らない…だと?」
「ああ、俺の能力が“身体強化”だけだと思ってくれていると、相手が油断してくれるからな…お前の様なオリ主を相手にするのに唯の身体強化だけなわけがないだろう?」
「くっ!!」

 反論の余地がまるでない。
 オリ主が望む能力は、重複もあるかもしれないがその人数分だけ存在する。
 事実、中の能力も物理的な衝撃だけで倒すのは難しい類のものだ。
 中自身、最初に透明な壁を作り出したことで、単純な強化だけではないと察していたはずなのに、いつの間にかその身体能力の高さにばかり目を奪われてしまっていた。
 秋晴に狩られたオリ主たちの中には、きっと最後まで秋晴の能力が身体強化だけだと思っていた奴もいただろう。

「話は終わりだな?」
「っ!!」

 何処までも冷えた声は秋晴の心を表しているようだ。
 機械のように、あるいは氷の冷たさで秋晴はやるべきことをこなそうとしている。
 掲げられた人差し指の先で仄かな明かりが生まれた。
 吹けば消えそうなほど、おぼろげで儚げな光だが、中の生存本能は全力でその危険性を伝えて来た。
 あれはやばい…あれを食らってしまったらその時点でおしまいになると…。

「ま、待ってくれ!!俺はどうなる!!これからどうなるんだ!?」
「どうもしない」

 お約束な台詞に秋晴は溜息をついた。
 これに似た言葉を聞くのは初めてではない。
 悪足掻きをして、それでも勝てないと悟った時
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