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オリ主達の禁則事項
英雄の暗躍
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自分の右手よりはるかに速く動いた秋晴のショートアッパーが中の顎を真下から捉え、頭上に撃ち抜いていたのだと気付くのは大分後になってからだ。
 しかし、たとえ理解が追い付いていたとしても中には何も出来なかっただろう。
 顎は急所の一つだ。
 人体の構造上、ここを打ち抜かれると脳に衝撃が伝わり、まともに動く事が出来なくなる。
しかも下から打ち上げられた衝撃で中の足は地面から離れていた。
秋晴からは空中で大の字に無防備を晒している中がいる。
そして、秋晴はすでに中に対して遠慮や手加減は無用だと判断している…ならば徹底的にやるだけだ。

「フン!!」
「ギガ!!」

 中の口から悲鳴にも似た空気の漏れる音が聞こえた。
 原因は鳩尾にささった秋晴の肘だ。
 駆け込んできた勢いのすべて園せた肘打ちの衝撃が中の体を貫通して背中から抜けた。
 大の字だった中の体がアルファベットのCのように折れる。

「とどめだ」
「ぶ!!」

 肘の威力で中の体が後方に流れ、秋晴との間に空間が開く。
 その隙間を使い、体を一回転させた秋晴の回し蹴りが中の腹に深くめり込んだ。
 隙も容赦もない連続攻撃の結果、口から血を吐きながら中が交付に向かって水平移動を開始した。
 その速さが秋晴の回し蹴りの威力を示し、背中から気に衝突することでようやく水平移動からは解放されたものの、中の姿は燦々たるものだった。
 気にぶつかった時についたのか、全身傷だらけになっている。

「あ、な…」

 目が焦点を結んでいない。
自分に何が起こったのか理解できないでいるようだ。
 あるいはまだ自分の勝利のイメージの中にいるのか?
 
「あまり面倒な手間をかけさせないでくれよ」
「ゴア!!」

 満身創痍の中に近づいた秋晴が躊躇なく中の右手のひじ関節を踏んで破壊する。
 これで神経が繋がっていても、物理的に右手は使い物にならなくなった。
 時間を置けば使徒の再生能力で回復するのかもしれないが、そんな暇を悠長に待ってやる修正ではない。

「俺を手駒にしようなんて10年早い」

 見れば、中の右手からは年度の高い液体が地面にこぼれおちている。
 左手は能力の維持が出来なくなったのか、元の人間の手に戻っていた。
 中が左右に顕現させた使徒の能力には共通点があった。
 触れた大正を侵食する能力と、その相手を自在に操る二つである。
 この二つのどちらかで秋晴を乗っ取り、意のままに操ろうとしたのだ。
 自分より強い相手なら力では無く絡め手、しかも自分より強い奴を奴隷のように使える…っと言うのが中の目論見だったようだが、誤算は秋晴の能力が完全に自分のそれを超えていた事だろう。
 肉を切らせて骨を断つどころか、肉ごと骨を粉砕されるとは想像もしてい
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