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オリ主達の禁則事項
英雄の暗躍
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 中は戦慄した。
 戦慄せざるを得なかった。
 オリ主の能力は単純な表面的な物だけではない。
 その本来の持ち主の偉業も加味される。
 例えば竜を殺した英雄の能力を付加した場合、竜種との戦いを有利に進める事が出来たりと言った感じだ。
 中の使徒の能力も例外ではない。
 天使の名を持つ使徒たちの能力は大きな神性を持つ、大抵の闇の者や闇の術…つまり魔法に対しては防御力と攻撃力に補正がかかるといった具合にだ。
 だからこそ、秋晴の語った“神殺し”の属性は致命的な物になる。
 神性を持つものにとっては最悪と言ってもいい組み合わせだ。
 ATフィールドは絶対の防御にならず、攻撃も本来の力を出せない。
 絶対に勝てないとは言わないが、それこそ相当な実力差がなければ無理…そして明らかに秋晴は中の能力を超えている。

「おしゃべりは終わりか?」
「ク、ククク…」

 最後通牒に暗い笑いでかえされ、秋晴が眉をひそめる。
 恐怖で気がふれたという感じはないので…。

「最後の悪足掻きか?」
「黙れ!!」

 言うが早いか、中の右手がいきなり二つに裂けた。
 いや、断面の滑らかさを見れば分離したという方が正しいか?
 そんな事を思っている間に、別れた手は再び一つになる。
 ただし元通りの五氏を備えた手ではなく、目や口のような感覚器の無い腕の太さ程度の光る…蛇?
いや…外見だけを見るならミミズの方が近いか?

「食らえよ!!」
「断る!!」

 案の定というか予想通りと言うべきか…変化した右手が襲いかかって来た。
 そして当然だが、わざわざ進んで攻撃を受けてやるほど秋晴はお人好しでもない。
 太さゆえか、左手の速度は先の鞭に比べれば遅い。
 音速以上の速度を避ける事の出来る秋晴にとって、不意さえつかないこの程度の攻撃では焦りさえ生まれない。
 空中を泳ぐ海蛇のような動きで迫って来たそれをギリギリでかわして中に接近する。

 懐に入ってくる秋晴に、中がニヤリと笑ってカウンターの右を放った。
 秋晴の能力は今一不明だが、それでも直接攻撃がメインなのは間違いないようだ。
 こう言った能力は基本インファイトと相場が決まっている。
 それが分かっているのならばやりようがなくもない。
 事前に覚悟を決めていれば、あばらを折られるくらいなら耐えられるだろう。
 動きが止まった所で必殺の一撃を目の前にいる秋晴に食らわせればいい。
 近接戦闘は相手の至近距離にいる必要があり、それは同時に、相手の射程内でもあるという事を意味する。

「もら…」
「やらん」
「え?」

 いきなり目の前にいたはずの秋晴が消えた。
 そこに在るのは夜でさえそれと分かるほどおい茂った木の枝と葉…実は秋晴が消えたのではなく、
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