英雄の暗躍
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とっさに発動させた能力が迫りくる秋晴と中の間に六角形の透明な壁を作り出す。
絶対領域の名を冠する拒絶の壁は、物理的な硬度さえ持ち、長重量の激突さえ耐える。
ましてや生身の人間の拳など論外、コンクリートの壁を素手で殴るに等しい。
勢いのまま突進してきた秋晴は壁に阻まれ、拳の骨が砕けてるだろう。
壁面に叩きつけられた蛙の様な無様な姿を想像し、中の顔が笑みの形に歪む。
いくらなんでもそれで死ぬ所まではいかないだろうが、壁に阻まれたそこに改めて光線を叩き込めばいい。
今度は全力で…本気でやれば森に一直線の道が出来るだろう威力をもってすれば、この世に消滅しない者はない。
それでこのアクシデントは終わり、自分の未来予想図は揺るがない…そう思っていた。
それがあっさり覆される事など考えもしていなかったのだ。
「げぶ!!あ、あれ?」
中が疑問符を吐く、同時に口から出て来た液体は妙にどす黒い赤だった。
そうなると…なるはずだと信じて疑わなかった中の思考は目の前の現実について来れていなかった。
ゆっくり、拳に抉られている自分の脇腹を見て、目の前で赤い壁に肩口まで赤い壁を割り砕いて入って来た腕を見る。
「ぎ、ぎゃぁぁぁ!!」
枯れ枝の折れるような音が自分のあばら骨が砕かれた音だと理解した所で、中は悲鳴を上げた。
体の内部から来る、逃げる事の出来ない痛みが中の妄想を撃ち砕き、これが夢でも何でもない現実だと伝えてくる。
激痛を耐える事は不可能、体に力の入らない中が転がるようにしてその場から離れる。
「赤い六角形の壁…エヴァンゲリオンの使徒の能力か?っと言う事はさっきのはゼルエルかサキエルの光線…どうりで少し押し込まれそうになったわけだ」
冷静に自分の能力を分析する秋晴の声が這いつくばった頭の上から降ってくる。
痛みにのたうちまわりながら中も秋晴の能力を考える事が出来たのは使徒としての耐久力があってこそだ。
オリ主同士の戦いの場合、相手の能力の把握は相当なアドバンテージになる。
自分の能力はあっさり見抜かれてしまったので、そう急に秋晴の能力を見抜かねばならないのだが…全く分からない。
絶対領域と呼ばれるATフィールドはおなじATフィールドでの中和か超高出力での一点突破しかないはずなのに、秋晴はその拳一つで破壊した。
確かにあばらを砕く威力はあったが、そんな程度で破れるはずがない。
ならば何らかの能力だろう。
某異能を無効化する右腕なら可能かもしれないが、それでは最初のあの透明な壁の説明が出来ない。
秋晴の能力は別の何かだ。
「ち、っくしょおが!!」
結論がでない疑問は思考停止と変わらない。
痛みが退いてきたのを感じた中が立ち上がる。
あばらを全
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