英雄の暗躍
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…ただの外道の所業だぞ?」
「未来を知る奴がいなければかんけーねえだろ!!」
自分の我を通す事に歪んだ誇りでも抱いているのだろうか?
それとも元々の性格によるものなのかは判断がつかないが、一つだけ確かに分かった事がある。
「ああ…これはもう…」
手おくれだなと呟きながら、秋晴は寄りかかっていた木から身を起こす。
口で言って分かれば良しだったのだが…この男はだめだ。
この先に行かせれば間違いなくこの世界に悪影響を及ぼす。
穏便に事を収める方法はいくらでもあるはずなのに、そうならない事の方が多過ぎる現実はいつもままならない。
「仕方がない…」
溜息をつきつつ、瞼を上げるのに合わせて色々な物を切り替える。
説得が無理なら、秋晴に出来る事は一つしかない。
何時も通り、物理的な力で持って事を収めるだけだ。
「…ひょっとしてお前、大母神のオリ主って奴か?」
「そう言う事だ」
おそらくこの男を送り込んだ髪が助言したのだろう。
後で大母神にチクってお仕置きのレベルを上げてもらおうと心にメモった瞬間、中の目が光ったと思ったら秋晴のいた辺りの地面がまとめて吹っ飛ぶ。
予備動作も何もなく放たれたそれは完全な不意打ち、誰であっても避けられる物では無かっただろう。
「けっ、勝手に裁こうとしてんじゃねえよ説教なんかめんどくせーんだよ」
中の顔は何処までも歪んでいた。
元の造形は悪くないのに、どう利用もなく醜悪な笑みの形になっている。
「俺は俺のやりたいようにやるだけ、っと…余計な時間を…」
「目からビームか…」
「な!!」
破壊力によほどの自信があったのか、秋晴の静止を確かめもせずに先を急ごうとした中の足が止まる。
信じられない思いで見れば、破壊の爆煙が腫れ、無傷の秋晴が姿を現した。
右手のひらを前に突き出している事以外は何も変わらない。
「な、何だお前、なんであれを食らって無傷なんだよ!?」
五体満足なのはこの際置いておく、そう言う能力を持ったオリ主と考えれば説明がつくが、服にも焦げ目どころか汚れ一つついてないのが理解できない。
「いや…違う」
中は秋晴の突き出した右手の先を中心に、空間が微妙に歪んでいるのを見てとった。
おそらくは壁…あるいはそれに似た何かの能力だ。
「目から怪光線を出すのにはいくつか該当作品があるんで断言できないな…取り合えず保留…流石に今の不意打ちはやばかった。…俺以外なら今ので終わっていたかもしれないな」
困惑する中に関係なく、秋晴は一歩前に踏み出していた。
二歩めで加速した秋晴が一気に距離を詰めてくる。
「ひっ!!」
反応出来たのは恐怖心と本能の賜物だっただろう
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