第三十五話 帝国暦四百九十年の始まり
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疑う事と陥れる事しか取り柄のない人間ですからね。益よりも害の方が多い、犯罪者じゃないのが不思議なくらいだ」
ヒルダは苦笑すら浮かべない。面白くなかったか? 会場には徐々に人が増えてきた。俺とヒルダを注視している人間も居る。総参謀長と海賊の会話か、気になるのだろうな。
「改革派の文官達の中には頭領の事を高く評価している人物もいます。それこそローエングラム公よりもです。その事で頭領を危険視する人間が居るのです。お分かりになりませんか?」
「……」
改革派の文官達か……、リヒターやブラッケだな。まあ連中はどちらかといえばラインハルトには批判的だった。改革は自分の野心のための人気取りだと。原作では他に人が居なかったから従っていたがこの世界では俺が居る。俺の方が純粋に平民達の事を考えていると判断したか、有り得ない話じゃないな……。
それを見て改革派の連中が俺を担ぎ上げるんじゃないかと危険視した人間が居るという事か。皇帝にじゃないな、精々宰相といったところだろう。ラインハルトを棚上げして実権を握るか。オーベルシュタインだけとは限らない、誰かは分からないが俺を危険視している人間が居るらしい。
その人物は平民達の支持が有れば改革派が俺を担ぎ上げる事が可能だと考えた……。改革派を疎ましく思い俺と連中の繋がりを危険視する者……、まさかとは思うが貴族? ……可能性は有るな。
ローエングラム体制になっても貴族はいる。連中の中にこれ以上の貴族勢力の衰退を望まない人間が居たとしたら……。ラインハルト以上に積極的に平民達の力を向上させようとしている、俺の事がそう見えたのかもしれない。当然だが面白くないと思っただろう。
文官との繋がりという意味では軍人の中にも俺を危険視する人間が居てもおかしくは無い。同盟との戦争は終わりつつある、もうすぐ軍事より内政が優先される平和な時代が到来するだろう。文官の地位が上がればそれだけ軍人の地位は下がる……。
ラインハルトは軍人だ、どうしても発想は武断的、軍人寄りになる。軍人にとっては理想の主君だろう。しかしそれだけに文官達にとっては不満に違いない。新時代のリーダーには相応しくないと思ったか……。連中が俺を評価するのはそれも有るのかもしれんな。となるとヒルダの心配は杞憂とは言えない、十分にあり得る事だろう……。
やれやれだ、世の中阿呆ばかりだな、余計な事をして混乱させてばかりいる。もっとも気付かない俺も阿呆の同類か……。何時の間にか火薬庫の上に飛び乗って火遊びをしていたらしい。溜息が出た。
「特に黒姫の頭領がフェザーンを占領してからはその傾向がさらに強くなりました。もちろんローエングラム公は黒姫の頭領に権力への野心が有るとは思っていません。頭領を御自身の後ろに配したのも周囲に頭領を信頼していると理解さ
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