第三十九話〜家族を望む者と守る者〜
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えっと、私服を買いに来たんですけど………何を選べばいいのか分からなくて」
「もしよろしければ、こちらで数点お客様に似合いそうなものを見繕わせていただいてもよろしいでしょうか?」
「………じゃあ、お願いしようかな」
ライのその答えを聞いた店員は食いつく様にライに提案する。このまま1人で悩んでいたら買い物も進まないと思いライは店員に依頼することにした。
そこからの展開は早かった。ライと話していた女性店員の後ろで動き回っていた店員が持ってきた服を片っ端から試着し、それを店員に褒められたりその店の他のお客から拍手をもらったりと、てんやわんやでもあった。
ライの容姿は美形で万人受けする。その為、ライが着飾るだけでそこはファッションショーの会場のようになっていた。客は足を止めライの方に視線を向け、店員は他にライに似合う服はないかと在庫を確認する。それが一時間以上続いた頃、ライはやっと自分が買う物を決め、会計を済ませた。
その際に買った服をそのまま着て行って欲しいと言う店側の要求を受け入れ、その分服の代金を割り引いてもらっていたりしていた。
服屋を出てライは少しの間街を歩く。この機会に何か他に必要な物がないかライは考えながら進んでいく。
そんな時、ライが不意に感じた。
「………」
その場に立ち止まり無言で辺りに視線を向ける。ライの視界に映るのは、元の世界よりも近未来に感じる街並みとそこを闊歩する人しか見えない。
(………気のせい、か?)
ライが感じたのはこちらを観察する視線。それは先ほどの服の店の中でライを見ていたお客や店員の視線とは違うものであった。
「………行くか」
ボソリとライは呟き、その場を離れるように歩みを進めていった。
(………まさか気づかれた?ほぁ〜〜“兄さん”は勘が鋭いなぁ〜〜)
ある人物がそんなことを思いながら、ライが立ち止まった位置から少し離れた位置にいることをライはこの時気付かなかった。
ミッドチルダ・路地裏
早足で路地裏に入ったライは首にかけていた蒼月を取り出す。
「蒼月、センサーの限定使用。半径五百メートルを円形にスキャンしたい。できるか?」
ライの声は真剣味を帯びており、蒼月は街中でのデバイスの使用をしてもいいのかを聞くことをせずにライの指示に従った。
「スキャン、開始……………………終了。歩行者の中に魔力反応は多数。但し、魔法を使用中の者、または高ランク魔導師の反応はなし」
そこまでの報告を聞いてライは『自分の考え過ぎか?』と思ったが、最後の蒼月からの報告で警戒心を解くことをしなかった。
「地下から鉄と布を引き摺る音があります。その音源は現在移動中。その音源は移動物体であると予想。音の大き
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